試合を支配する8つのアドバンテージを解説
サッカーの試合において、チームは90分間を通して常に「優位性」を奪い合っています。なぜあのチームは勝てたのか、なぜあの場面でチャンスが生まれたのか。その答えの多くは、どちらのチームが、どの局面で、どのような「優位性」を確保していたかを分析することで見えてきます。
「優位性」と一言で言っても、それは単一の概念ではありません。人数的なものから、個人の能力、チーム全体の配置、さらには心理的なものまで、ピッチ上では様々な種類の優位性が複雑に絡み合って存在します。
このサッカーにおける「優位性」を8つの基本的なカテゴリーに分類し、それぞれの意味と、それらがピッチ上でどのように機能するのかを具体的に解説していきます。このフレームワークを理解することで、サッカーというスポーツの奥深い戦術的な駆け引きを、より明確に読み解くことができるようになるはずです。
数的優位(すうてきゆうい)
意味: 特定のエリアにおいて、味方の人数が相手の人数よりも多い状態を指します。
数的優位は、サッカーにおいて最も基本的かつ分かりやすいアドバンテージです。例えば、攻撃時にサイドで味方選手2人に対し、相手の守備者が1人という「2対1」の状況がこれにあたります。この状況では、攻撃側はパスの選択肢が複数生まれるため、相手の守備を容易に突破しやすくなります。ドリブルで仕掛ける選手と、その選手を追い越してパスコースを作る選手がいれば、守備側はどちらに対応すべきかという判断を迫られ、対応が遅れれば簡単にクロスや侵入を許してしまいます。
守備の局面においても、数的優位は極めて重要です。ボールを持っている相手選手を2人、3人で囲むことができれば、パスコースを限定しながらプレッシャーをかけることができ、ボールを奪い取れる可能性は飛躍的に高まります。現代サッカーで重要視される前線からのプレッシングも、いかにしてボール周辺で数的優位を作り出すか、という考えに基づいています。
位置的優位(いちてきゆうい)
意味: 人数が同数、あるいは不利な状況であっても、相手よりも有利なポジション、つまり質の高いスペースにいる状態を指します。
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