現代サッカーの戦術を語る上で、その根幹には二つの大きな潮流が存在します。一つは、ボールを保持し続けることで試合の主導権を握ろうとする「ポゼッションサッカー」。もう一つは、堅固な守備から、ボールを奪った瞬間に素早く相手ゴールへ迫る「カウンターサッカー」です。
この二つの戦術思想は、それぞれを象徴する世界的名将の存在によって、その輪郭をより明確にしています。ペップ・グアルディオラ監督に代表される「ペップ型」ポゼッションと、ディエゴ・シメオネ監督が築き上げた「シメオネ型」カウンター。これらは、時に正反対の哲学として語られます。
では、この二つの戦術は、具体的にどのような構造と目的を持っているのでしょうか。そして、目まぐるしくトレンドが変化する現代サッカーにおいて、どちらが「主流」と言えるのでしょうか。本稿では、この二大戦術を徹底的に比較・分析し、Jリーグにおける傾向も含め、現代サッカーの戦術的本質に迫っていきます。
戦術の基本定義
まず、二つの戦術の基本的な定義と目的を整理します。
これより先を読むには【有料会員登録】を済ませてください。
*このページ区間はすべての会員様に常に表示されます*
コメント