はじめに
サッカーの戦術トレンドは時代ごとに大きく変化し、近年では「攻守の切り替え(トランジション)」の重要性がますます高まっています。その中でも注目されるのが、「ゲーゲンプレス」というアグレッシブな守備&攻撃の戦術です。攻撃的な守備と表現がもしかしたら適切かもしれません。
今回はゲーゲンプレスのメリット・デメリット、そして戦術的な内容をを解説します。
ゲーゲンプレスの背景と歴史
ドイツの影響
ゲーゲンプレスが特に脚光を浴びたのは、やはりユルゲン・クロップがドルトムントを率いた際に「攻撃的な守備」「ボールを失った瞬間の即時奪回」をチーム全体に浸透させ、チームとして成熟し成功を収めたことで世界的に広まったと考えています。さらにクロップがリヴァプールでも同様のスタイルを継続し、チャンピオンズリーグやプレミアリーグを制覇したことも大きな後押しとなりました。
トランジションの重視
現代サッカーにおいて、攻守の切り替え(トランジション)は非常に重要視されています。特に攻撃から守備への切り替えは、カウンターを防ぐうえで大きな鍵となります。ゲーゲンプレスはまさにこの切り替えの瞬間を最大限に活用する戦術であり、ボールを失った瞬間に即座にプレッシングをかけ、相手のカウンターを封じると同時に、再び攻撃を継続する機会を得ようとします。
根本的な考え方
ボールを失った瞬間が最もチャンス
サッカーの試合では、ボールを奪った側(相手)も、奪われた側(自分たち)も、すぐには攻撃・守備の態勢を整えられていません。とりわけ奪ったばかりのチームは、【奪ったけど選択肢(攻撃)を考えてない】【ボールを奪うのに必死だった】状態にあることが多いのです。この“攻撃・組織が整う前”というわずかなタイミングを狙って、一気に複数の選手が相手に圧をかけるのがゲーゲンプレスです。まさに奪われた瞬間が逆にチャンスというやつです。
守備と攻撃の両面を一気に解決
- カウンター阻止
ボールを失った直後は相手にとってカウンターを仕掛けやすい最大のチャンスでもあります。そこで、ゲーゲンプレスを仕掛けることで相手のカウンターを未然に防ぎ、自分たちのゴールに危険が及ぶ前にピンチを断ち切ります。 - 即時攻撃の再開
ゲーゲンプレスが成功すれば、自陣に戻らずともそのまま攻撃を再開できる可能性が高まります。何より、自分たちがボールを奪い返した地点が相手ゴールに近ければ近いほど、得点の期待値も上がるというメリットがあります。
具体的な動き・仕組み
ボールホルダーへの即時プレス
ゲーゲンプレスの最大の特徴は、ボールを失った瞬間、最も近くにいる複数の選手が一斉に相手ボールホルダーに対して素早く圧力をかけることです。ここでは先方へのパスはNGで、後方にパスを出させるのはOKだと思ってください。
チームの連動性とコンパクトさの形成
これより先を読むには【有料会員登録】を済ませてください。
*このページ区間はすべての会員様に常に表示されます*
コメント