はじめに
サッカーの試合を振り返ったとき、「前線の選手が奪いにいっているのにDFラインが連動せず、あっという間に間延びしてしまった」という場面を目にすることはありませんか?
攻撃陣が高い位置からプレスをかけても、後方ラインがついてこなければ、中盤に大きなスペースが生まれ、相手に好き放題にポゼッション・ビルドアップされてしまいます。逆にDFラインが前へ押し上げようとしても、前線が動かなければプレスにはならず、ただラインを高く保っただけでは相手のカウンターを受けやすい。
このように、チーム全体のラインコントロールが噛み合わないと、コンパクトフィールドを形成できず、攻守両面で不安定さが露呈してしまうのです。
今回は、そんな“ラインコントロールの不一致”が起こる原因と、その対策を解説します。DFラインと前線の意思疎通が取れない理由はなにか、チーム内で「いつ奪いにいくか?」が共有されていない背景はどこにあるのか。そしてどう修正すればコンパクトフィールドを実現し、効率的にボールを奪えるのか。
これからお話しする内容を実践すれば、チーム全体の守備意識が高まり、「前線と後ろがバラバラにならない」守り方が身につくはずです。是非参考にしてください。
なぜラインコントロールが噛み合わないのか
DFラインとFWの意思疎通不足
最も多いのが、前線のFW(または攻撃的選手)が「今は行きたい」という気持ちを持っているのに、後ろのDFラインは「まだ下がりたい」と思っているケース。
- FW「高い位置でプレスを仕掛けたい」
- DF「リスクが高いからラインを上げたくない」
こうなると、前と後ろの間にスペースができ、中盤に大きなスペースを与えてしまいます。DFが意図していないのにFWが突っ走ったり、またはその逆(FWが前を放棄してもDFラインが妙に上がる)だったりすれば、コンパクトとは真逆の“間延び”状態に陥るのです。
「いつ奪いにいくか?」が共有されていない
チーム全体として、ボールを奪うタイミング(プレスをかける瞬間)が不明確だと、誰が守備の主導権を握るかがはっきりしません。奪いに行こうとする人と、リスク回避で下がりたい人がばらばらになると、連動どころか守備ラインがガタガタになります。
- どの状況なら前へ行くのか?
- どんなプレーがトリガーになってチーム全体としてプレスを始めるのか?(ボールがサイドに行った時、GKが出した時 等)
こうした“チーム全体の合図”がないと、各々の判断で動くため、タイミングが合うはずもありません。
ボールを奪う時とゴールを守る時の「とき」の共有が甘い
これより先を読むには【有料会員登録】を済ませてください。
*このページ区間はすべての会員様に常に表示されます*
コメント