試合を「分析する」と一口に言っても、その視点や方法は千差万別です。ボール支配率やパスの本数など、数字を重視するアプローチを取る指導者も少なくありません。いずれにせよ、分析は「自チームと相手チームの現状を把握し、次の試合でどう活かすか」を考えるための作業です。
本記事では、ゲームを分析するときに注目しているいくつかのポイントを整理しました。特に、**「何を見れば試合の流れがつかめるか」「自チームと相手の特徴をどう把握して戦術改善に繋げるか」**を意識した内容になっています。
下記の観点はあくまで一例です。最適解はチームごとに異なり、絶対的な正解はありません。しかし、分析をする際に「どのポイントを見れば有益な情報が得られやすいか」を知っておくと、試合後の振り返りがスムーズになります。守備・守→攻・攻撃・攻→守、それに加えてセットプレーやシステム変更などの“その他要素”に着目すると、チームの課題や可能性が浮き彫りになるかもしれません。ぜひ、ご自身の現場や観戦スタイルに合わせて取り入れてみてください。
なぜ分析をするのか
分析の目的と効果
サッカーの試合は、90分(あるいはカテゴリーによってはそれより短い場合もあります)という限られた時間の中で、攻守が目まぐるしく入れ替わる競技です。そのなかで、「自分たちの戦術は想定通り機能しているのか」「相手の狙いはどこにあるのか」を見きわめることは、指導者や選手にとって極めて重要です。
- 次の試合へのフィードバック: 同じ失点を繰り返さない、同じ得点パターンを再現するなど。
- チームコンセプトの検証: 実際に意図した通りのサッカーができているかを確認。
- 選手個々の成長: 分析で得られた気づきを練習メニューに反映させることで、選手が自己の役割を再認識しやすい。
見るポイントを絞る意義
試合映像やスタジアムでの観戦時、あれもこれもと視点を広げすぎると、結局どこにも十分に焦点が当たらないまま消化不良で終わってしまいます。よって、**「今回は守備から攻撃への切り替えだけに注目する」**というように、あらかじめ観点を定めると分析の質が高まります。
守備から攻撃、攻撃から守備への移行も含めた4視点
今回取り上げるのは、
- 守備
- 守→攻の切り替え
- 攻撃
- 攻→守の切り替え
に加えて、**その他(セットプレーやシステム変更、キープレーヤーなど)**の観点を交えたアプローチです。これらはサッカーの流れそのものであり、どのフェーズもおろそかにできません。試合観戦や映像の分析時に、これらのフェーズごとに箇条書きのような項目を定め、それをベースに詳細を膨らませる手法をよく用いています。
観点と問いかけ
以下に示すのはよく使う質問やチェックポイントです。これらを試合前から意識しておくと、実際に試合を観ながらメモを取りやすく、後で振り返りをする際にも整理しやすいでしょう。
1. 守備
- a.相手のオーガナイズ
- システム(4-4-2、4-3-3、3-5-2など)
- ベースの立ち位置(最終ラインの高さ、中盤の構成、FWの動き)
- 狙い(どこで奪いたいのか、誰を経由させたいのか)
- 選手の質(スピード型FWか、パサータイプのボランチかなど)
- b.自チームのオーガナイズ
- 守備の基本ポジション(どのラインを上げるか、誰がどこをカバーするか)
- 狙い(いつ? どこで? どのように? 誰が?)
- ファーストライン(FW)、中盤のライン、DFライン、GKの距離間
- ライン間の間隔(ボールがこの位置にあるとき、中盤と最終ラインの距離はどうか)
- 自チームのキープレーヤー(例えばCBが指示を出せているか、しっかりカバーできているか)
- 相手の攻撃に対してよく発生する状況は? その場所は?
- うまくいかなかった状況は? それはなぜか?
2. 守→攻の切り替え
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