今回はシステム分析編です。
4-4-2にフォーカスして記事を書き進めようと思います。
さっそくですが…
・そもそも「4-4-2」はなぜ広まったのか?
・多くのチーム(特にジュニア・ジュニアユースユース世代)がこのシステムを多く採用する理由
・「4-4-2」は万能なのか?
・そんな「万能なシステム」に弱点はないのか?
等々、気になったことはないでしょうか?
私は気になります(笑)
では早速本題へ。
4-4-2は攻守にバランスの取れたシステム
4-4-2はサッカーにおいて非常に基本的で広く使用されるフォーメーションの一つです。書籍には以下のように記載されています。
「4-4-2というフォーメーションは、サッカーにおいて非常に基本的で、どんな才能がなくてもうまく機能する優れた形態です。このフォーメーションは実質的にすべてのフォーメーションの原点であり、3バックはこの4-4-2から派生しています。」
サッカーフォーメーション図鑑
とてもシンプルでバランスのとれた構造が、様々なタイプの選手や戦術に適応しやすく、突出した才能のある選手がいなくとも、効果的に機能することができるとされているのがこのシステムです。
このシステムは守備的な安定性と攻撃的な威力を両立させることができ、そのバランスの取れた特性が魅力とされています。
「前線には2枚しか選手がいないけど、どこがバランスでいいの?」
と思われた方はしばしお待ちください(笑)記事を読み進めるうちに明らかになります。
「3バックがこの4-4-2から派生している」というのは3-5-2や3-4-3などの3バックのフォーメーションは、中盤の選手を増やしてボール支配力を高め、攻撃的・ボール支配率を高める事を目的としているはずです。
この戦術(3バックフォーメーション)を採用するのであれば4-4-2と比べて
・中盤にボールキープ力のある選手、または「さばける」選手
・幅68メートルの広さを3枚のDFで守ることができる強靭なフィジカルのある選手が必要になってきます。
よって、上記のような選手がいれば4-4-2から派生して3バックという戦術・システムを取ることは可能かと思っています。
しかしながら多くのチームがそうではありません。
繰り返しにはなりますが、通常の部活動やお父さんコーチが監督するような町クラブではそういった「タレント」選手がいるのは稀です。
よって、シンプルでバランスの取れた構造「4-4-2」が多くの監督やクラブに採用されているというのが実態です。
4-4-2のシステムにおいては3つの守備ラインが以下のように配置されます。
守備的な4バックライン(ディフェンス):
右サイドバック(RB): 右サイドのディフェンスを担当。
右センターバック(RCB): 中央のディフェンスを担当。
左センターバック(LCB): 中央のディフェンスを担当。
左サイドバック(LB): 左サイドのディフェンスを担当。
中盤の4人の選手(ミッドフィールド):
右ミッドフィールダー(RMF): 右サイドを攻撃的・守備的にサポート。
右セントラルミッドフィールダー(RCMF): 中央の中盤を制御し、守備と攻撃のリンク役。
左セントラルミッドフィールダー(LCMF): 中央の中盤を制御し、守備と攻撃のリンク役。
左ミッドフィールダー(LMF): 左サイドを攻撃的・守備的にサポート。
2人の前線(フォワード):
右フォワード(RF): 右サイドを攻撃的に牽引。
左フォワード(LF): 左サイドを攻撃的に牽引。
「なぜなら、4-4-2が基本とされる理由は、ピッチのサイズに対して最もバランスの良い配置だからです。ピッチが縦105メートル×横68メートルで構成されている場合、ゾーンディフェンスを主体とする現代のサッカーでは、横幅68メートルを3枚で守るには広すぎ、5枚だとやや狭すぎるのです。また、3つのラインで構成されるフォーメーションでは、5枚を1つのラインに割り振ると、どこかのラインが薄くなり、攻撃に対して脆弱になってしまいます。」
サッカーフォーメーション図鑑
3つのラインで構成されるフォーメーションでは、各ラインに均等に守備的な負担がかかるように配置することが重要です。しかし、DFラインが3枚の場合は守り切るにはピッチが広すぎ、逆に5枚の選手を守備ライン1つに集中させると、他のラインが薄くなり、攻撃に対して脆弱になる可能性があります。
またビルドアップのときにも、DFラインの「深さと幅」を取る際には連動と流動的なポジションチェンジが必須になってきます。
4-4-2では4バックラインが横幅を広く均等にカバーし、中盤も2列になることで、相対的に安定した守備バランスを保つことができます。
またビルドアップの際には両サイドバックが上がってCBとGKの3枚でボールを回せれば、基本的に相手より「+1」の状況をつくりだせることが簡単にできるため、この点でもバランスが良いと考えています。
したがって、4-4-2は縦横均等に選手が配置され、全てのポジションに均等に力を分散できるため、どのポジションにも突出した選手がいなくてもある程度機能することが可能ではあります。この均衡性とバランスが、4-4-2の魅力であることは間違いありません。
前半部分のまとめ
「4-4-2は個々の選手の才能に頼らず、チーム全体の協力によって成功することができるフォーメーションです。つまり、驚くようなドリブラーや天才的な選手がいなくても、平凡なチームでもかなりの完成度まで高めることができるのです。サッカー界では、スーパータレントを持つビッグクラブはごく一部であり、多くのクラブはそういったスーパーな選手を抱えることが難しいのが現実です。」
サッカーフォーメーション図鑑
4-4-2が多くのチームに採用される理由
・バランスが良い
サッカーのフィールドを考えた時に、MFラインとDFラインに4枚の選手がいることで幅68mのピッチを満遍なく守備することが可能。
またビルドアップの際も、両サイドバックが両サイドハーフの選手を押し上げ最終ラインはCBとGKの3枚でボールを回せれば、基本的に相手より「+1」の状況をつくりだせる。2-4-4のバランスの良い攻撃システム
・突出した選手がなくてもシステムの良さを最大限発揮することができる
ドリブルの巧みな選手や特異な才能を持つ選手がいなくても、4-4-2では連携やコンパクトな守備組織、堅実な攻撃などが強みとなります。
「4-4-2」のシステムの弱点とは?
万能でもっともバランスの取れたシステム、そして多くのチームが多用しています。逆に言えば、多くのチームが採用しているからこそ「弱点」を抑えてしまえば自チームの勝機を見出すことが可能になります。
それでは私が過去の記事でも書いてきたものから4-4-2の記事の弱点を示していきたいと思います。
まず4-4-2というシステムはゾーンディフェンスが主流になった時期に、その戦術にジャストフィットしたシステムであり採用が多くなったと、第1弾で初回させていただきました筆者の方も述べています。
ではゾーンディフェンスのメリットとは何なのか?
〇ゾーンディフェンス
メリット
1. スペースを守ることができる
2. バランスよく守ることができる
3. カバーしあえる
ゾーンディフェンスは、特定のエリア(ゾーン)を守ることで連携して相手の攻撃を防ぐ戦術です。そのメリットの一つは、スペースを守ることができることです。各選手が担当するエリアを明確に決め、相手の進攻をスペースごとにブロックすることで、相手の攻撃を効果的に封じ込めることが可能です。
バランスの良い守り。それがゾーンディフェンスのメリットの1つです。
バランスの良い守り=4-4-2のバランスの良い布陣=ゾーンディフェンスに適している
とも理解できます。
しかしながら以下の問題点が出てきます。
4バックの問題点は過去の記事でお伝えしていますが、再度確認していきましょう。
センターバックの守備難易度が高い
前に出てセンターバックが守備をすることは重要ですが、4バックではセンターバックが2人しかいないため、他のDFがスライドして穴を埋めなければなりません。
センターバックが積極的な守備に踏み切るとなるとどうでしょうか?
私が良く使っている「ライン」から一人が抜けてしまうとぽっかりと空いた穴を相手FWはついてこないでしょうか?ライン間突破をされる心配はないでしょうか?
抜け出した場合は、穴埋めのためのサポートは可能でしょうか?
SBがズレたらそのポジションをSHが埋めることはできるのでしょうか?
できないとしたら他の選手がサポートできず、ピンチが生じることがあります。そこにも仕組みが必要となりますが、その仕組みを見かけることはあまりありません。
つまりセンターバックの判断1つで4-4-2の絶妙なバランスは崩れてしまい、連携が取れてないチームは「連動・流動的なサポート」ができず危機的状況を迎えてしまいます。
バイタルエリアの守備が弱いと致命的
また、バイタルエリアの守備がとても重要です。
【中略】
4バックの場合、バイタルエリアの守備が不十分であれば、相手に有利な形でバイタルエリアを使わせてしまい、守備側にとって守らなければならない場所を相手に容易に使われてしまいます。
4バックの場合、バイタルエリアの守備が弱いことは、このシステムにとって致命的です。そうなると、ダブルボランチにしてバイタルエリアを消すことが一般的ですが、攻撃面でのサポートが減ってしまいます。
ではバイタルを攻略されないためにどうするのか?
結論としては、コンパクトな陣形を保つこと。
コンパクトにすることの重要性は過去の記事でお伝えしています。
守備陣全体がコンパクトであることは、相手にスペースを与えず、攻撃の隙間を減少させるためとても重要です。
チーム全体での連動と予測が不可欠であり、移動中に距離を詰めつつ、粘り強い態勢を維持しましょう。
3ライン(FW・MF・DF)のこのスリーラインが間延びしないように徹底的にコンパクトにすることが必要です。このコンパクトな守備陣形を保ち続けられることができるのかが4-4-2の課題でもあります。筆者も以下のように述べています。
「【4ー4】で組むDFと中盤の2ラインでは、誰か1人、約束事をおろそかにした瞬間を握っているのは3ラインのコンパクトさである。特に中盤の4枚とDFラインの4枚で作る【4ー4】の2ラインの間隔は10メートル以下に収めるのがマストになってくる。いわゆるバイタルエリアといわれる空間は「4ー4ー2]の泣き所だ。」
サッカーフォーメーション図鑑 配置の噛み合わせが生む位置的優位性を理解する
より引用
ではコンパクトにしたら裏のケアは誰がするのか?
GKですね。ゴールキーパーには裏のスペースをケアするという仕事をしてもらわなければこのシステムは最大限の機能をはっきするこができません。
まとめ
結論として「4-4-2」の弱点となるところは
1.バイタルエリア
2.CBの判断力と統率力
3.GKの守備範囲
の3点になってくると思います。
このシステムを採用しているチームはどのようにしてここをケアできるが勝負所です。
そして【4-4-2】のシステムと対峙した時にはここを徹底して攻略する戦術を考えてみてはどうでしょうか?
戦い方はもちろん多数ありますが、今回の記事が皆さんの参考になれば幸いです。
コメント