今回は指導者がTRを作る際に引き出しを多く持っておくことの大切さについて書いていきたいと思います。引き出しが多い=TRメニューを豊富に持っていることになります。
そもそもなぜ選手たちはトレーニングに飽きてしまうのでしょう?
と考えた時に予測されることは全部で3つです。
1. 新鮮味の喪失
何か新しいことに興奮・ワクワクする最大の理由は、その新鮮味にあります。新鮮味は私たちの好奇心とやる気を刺激し、集中力が上がります。しかし、同じ事を繰り返し行い刺激が単調になると徐々にその新鮮味を失い、飽きの原因となります。
2. 予測可能性の増加
予測可能なことに、人は魅力を感じません。
「今日も同トレーニングか」
「このくらいやっておけばいいかな」
等々、選手たちが予測可能なトレーニングないようでは、効果半減です。
3. 自己成長の停滞
「飽きを感じ始める=成長の停滞を感じる」だと私は考えています。
人間(選手)は誰しも成長すること・スキルアップに喜びを感じるはずです。しかし、毎回同じトレーニングでスキルの向上を感じられなくなると、自己成長が停滞していると感じ、そのトレーニング自体に飽きることがあります。
*どんなトレーニングでも選手は向上心と集中力をもって取り組むべきということは、私も理解している前提をこちらを書いております。
つまり、この3つ避けるために手を変え品を変え「選手たちの飽き」を招かないようにするのが、プロとしての指導者の責任です。
そして何よりも彼らは「抜け道」(ある種のズル)を考えてきます・・・
まさに指導者と選手の戦い・・・
よって、1つのT Rメニューに対して複数のオプションやルール変更の引き出しを多く持っておくことは非常に重要です。
今回は、以前紹介した1vs1+2Sのトレーニングを中心に見ていきましょう。
こちらのTRになります。黄色のサーバーから黄色のサーバーにボールを動かすことが「目的」となります。最初は青色のボールから。
①サーバーから直接サーバーへのパスもO Kです。一見普通のルールだと思いますが、私が守備側(赤色)選手であればこんなことを考えます。
「サーバーからサーバーへ移動させることが目的なら、黄色のサーバーの前に立ってパスコース消していれば問題ないな」と。
このようなイメージです。
いやらしい・ずる賢い選手ですね(笑)
でも選手は少しでもルールの抜け道を考えて、楽をしようとします。これが先ほど触れた「指導者と選手の戦い」の1部でもあります。
正直、私も選手だった時はこんなことばかり考えていました。
みなさんでしたらこのような選手がいて、このようなプレーをしたらどうしますか??
ここで指導者にアイデアがないと「コラー!そんなんじゃトレーニングにならないだろ!!ズルするな!!」と言って無理やりボールに青の選手にプレッシャーをかけに行かせたりもします。ただそれでは選手は納得しません。
「いやいや、だって黄色に渡すことが目的なら、その目的を達成させないようにすれば守備成功なのに…。」と。そこでこうなることを予想しておき、ルールを変更していくことが必要になってきます。それこそが「指導者の引き出し」になります。
ここで私はいくつかのルール変更を考えておきます。
①パスを5〜7本繋いだら攻撃の勝ちにする。これをすることで守備側は守っているだけではなくプレスをかけて奪いに行かないといけなくなります。
②下記の図のように真ん中で区切りボールサイドでしか守備ができないようにします。
このようなイメージですね。黄色の点線より前でしかボールを奪うことができないようにする。少しゲームからは外れてしまうためリアリティにかけてしまうかもしれませんが、「何を獲得させたいか?」が指導者の中で明確になっていれば私は問題ないと思っています。
これがトレーニングメニューをただコピーするだけでは全く意味がないということにつながります。指導者がただやらせるのではなく「なぜこのトレーニングをするのか?」という選手の問い対してにしっかりと回答を持っていることが大切です。
話が少しそれてしまいましたが、もう一つ条件を。
③黄色のゾーンでしか守備をしてはいけない。
このようなイメージですね。
④上記の図のようにグリッドを3分割にしてボールサイドの3分の2のエリアでしか守備できないようにしてサーバーの前に立つことができないようにすることも一つの例です。
これらを選手の状況を見ながら手を替え品を替えていくことが大切です。
①と②をミックスさせたりすることもあります。一つのトレーニングメニューでも引き出しを多く持っておくこと、そして何かルールや条件を作るときにはその抜け道も指導者が把握しておくことも大切です。
私は選手に育ててもらいました。私の想像を超えてくる選手たちとトレーニングをしたいという思いがあります。
なぜなら私は、選手として「プロ」を経験したわけではありません。だとしたら選手たちには「想像を超えてこないと俺はワクワクしないぞ!」と常々言っています。
想像を超えられたら、またこちらももっと選手たちに刺激を与えたいと学びます。それが相乗効果となってチームが良くなるとも思っています。
まだまだ私も勉強中ですし、おそらく指導者をやっている以上満足することなく勉強し続けると思います。ぜひみなさんからも学ばせてください!!
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