はじめに:「あきらめ」がもたらすモノと指導者の役割
スポーツの現場だけではなく、子どもたちが一度「無理」と感じてしまうと、そこから立ち直るのに時間がかかるケースがよく見受けられます。(【こども】と書きましたがそもそも大人であっても無理と感じてしまうと身動きが取り辛くなりますよね・・・)
たとえば、チームメイトの実力と比べて劣等感を抱き、「自分には向いていない」と早々に諦めてしまう子もいれば、試合で失敗した経験が大きなトラウマ・ハードルとなってしまう子もいるでしょう。
このような場面に直面すると、多くの指導者は「どうやって子どものやる気を引き出すか」に頭を悩ませます。万が一このシーンで「選手のやる気がないなら仕方ないか・・・」を割り切ってしまうようであれば、今後の指導者としてのキャリアは厳しいものになるでしょう。
世間一般的には“あきらめないこと”の大切さがよく説かれます。しかし、それをただ言葉で伝え続けるだけでは不十分です。子どもたちが本当に「挑戦し続けたい」と思えるようにするには、日常の指導や声かけにおいて、「あきらめ」を生む背景を理解し、その環境の改善に取り組む必要があります。
ここでポイントになるのが、子どものモチベーションを高める上での“比較”の捉え方です。
横型比較(他人との比較)に陥ってしまうと、「あの子より劣っているから無理」「どうせ自分なんて」と意欲を失いやすい。
一方で、縦型比較(過去の自分との比較)を取り入れることで、「昨日の自分より上手くなった」「前の試合ではできなかったプレーができるようになった」と、成功体験に目を向けられるようになります。
今回は、あきらめがちな子どものやる気を引き出すための具体的なステップを取り上げながら、指導者が果たすべき役割や具体的なアクションプランを提案していきます。子どもの“モチベーションのトリガー”を引くうえで大切なのは、決して子ども本人だけの問題にしないこと。“指導のプロ”として、その火をどのように灯し続けるのかが問われているのです。
横型比較と縦型比較――子どもを萎縮させるもの、伸ばすもの
1. 子どもが諦めてしまう要因
サッカーの世界でも子どもたちが「あの選手の方がずっと上手」「自分はいつまでも追いつけない」と感じる瞬間は少なくありません。特に日本では、年齢ごとにレギュラー争いや選抜メンバーなどがはっきりと選定されがちです。その結果、周囲との比較にとらわれ「やっぱり向いていないのかも」と自信を失ってしまうケースが多くなります。
- プレッシャーの増大:周囲の評価を気にするあまり、思い切ったプレーができなくなる。
- 自己肯定感の低下:他人と比べて劣っていると感じ続けることで、「頑張っても意味がない」という諦めに直結しやすい。
2. 縦型比較のメリット
そこで導入したいのが“縦型比較”という考え方です。これは、過去の自分と現在の自分、あるいは少し先の未来に向けた自分を比較し、どの程度成長しているかを客観的に捉えるアプローチを指します。
- 成長を実感しやすい:小さな成功体験もポジティブに捉えられるので、モチベーションを下げにくい。
- 自律的な目標設定:自分と自分の比較であるため、周囲に左右されずに取り組み続けやすい。
この縦型比較を習慣化することで、子どもは「昨日の自分より上達しているポイント」を見つけやすくなり、それがさらなる挑戦につながる好循環を生むのです。
モチベーションを蘇らせる具体的なステップとアクションプラン
ここでは、縦型比較を中心に据えながら、子どものやる気を高めるために指導者や大人が取り組める具体的なアクションプランを紹介します。
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