はじめに:言葉の定義
今回はサッカーの魅力である各チームの「美学」について書いていきたいと思います。美学となると、言葉は1つですが人の解釈よっていろいろな意味が生まれてしまうと思います。
よって、今回は言葉の意味を定義しておきたいと思います。
Googleによると美学とは
①自然や芸術における美的な感性的認識や、芸術の創造・享受などについて研究する学問
②美しさに関する独特の考え方
と書いてあります。今回は②について書き進めて行きたいと思います。
様々なサッカーの美学
サッカーに対しては様々な考え方が存在し、各チームでさまざまな「美学」があると思っています。そして、その「美学」が論争を生み、サッカーをより魅力的なものにしていると思います。それぞれの「美学」の戦いが面白いですね。
そしてサポーターの皆さんは、その「美学」(戦術・プレースタイル・考え方等)に共感しこのチームを応援していこうと強く思うのではないかと思っています。
一部の罵詈雑言は省いて、サポーターたちの衝突も美学のぶつかり合いだと考えています。
私がアカデミーコーチをしているバルセロナは「ボールを保持する」ことが美学です。これはトレーンングの中からその要素がしっかりと継続して落とし込まれて刷り込まれていきます。
一方で以前のイングランドのように「キック&ラッシュ」ロングボールとフィジカル的なパワーで強度を上げていくフットボールです。これも美学ですね。ボールを持つ美学があれば、反対に「ボールを持たない」美学というものも存在しています。
例えば今シーズンの町田や、神戸、福岡などもその部類に入るかなと思います。
そして、1−0で勝つという「カテナチオ」のイタリア、「全員攻撃全員守備トータルフットボール」のオランダ。
密集を作りショートパス・ドリブルで局面を打開していくスタイル、「ゲーゲンプレス」などなど、各チームが志向するサッカーが一つではないことが魅力です。このような「美学」を見つけながら観戦をすることも面白いと思いますし、私は指導者なので自分の「美学」を全面に出したサッカーを展開していきたいと思っています。
スタートは勝利からの逆算
ここで指導者の皆さんも一緒に考えて欲しいことがあります。
それは「自チームの美学を定義できているのか?」です。
そして美学を定義したら、そこから逆算したトレーニングをしっかり実施できているかも真剣に考えて欲しいです。そこが抜けていると本末転倒、選手たちは混乱に陥ってしまいますね。
指導者としてどんなサッカーしたいのか?はとても重要だと私は思っています。もちろん選手一人一人を観て戦術を決めることももちろん大切なことだと思っていますが、自分がしたいサッカー・美学からの逆算を先ずは取り組んでみてはいかがでしょうか?
先ほどの例に挙げた町田ゼルビア・ヴィッセル神戸のサッカーは「勝利からの逆算」「勝利への最短経路」といった抽象的なところからスタートしていると思います。
勝利するということはサッカーの原理原則からすると失点を最小に抑え(理想的には0点)、自分達のスコアが相手よりも上回っていること(1点でも多く得点を取る)となりますよね。
ボールを保持するサッカー(ディフェンスラインからのビルドアップ)は一見ゲームを支配しているように思えますが、逆の視点から見るとボールを奪われた際のリスクが高いといった視点をもちろんあります。
ここでどちらを選択するかが指導者の美学(観点)になるかなと思います。
自分たちがゲームを支配している状況を
【ボール保持率を高めて相手陣内深くまで運び、決定的なチャンスを演出する】
と定義するか
【相手陣内深くにボールを共有し、セカンドボールを奪い少ないタッチ数でゴールを奪う】
と考えるかでチームの戦術は変わってきます。
しかしながら、繰り返しにはなりますが両者とも「勝利からの逆算」で行き着いたチームの美学です。
「あのチームのサッカーはつまらない」
「蹴ってばかり」
「無理して後ろでつなぐ必要はないのに、なぜ?」
等の意見は様々あると思いますが、どれも考えのスタート地点は「勝利するためにどうするか」です。
そこの良い・悪いはなく、指導者としてはその「美学」を選手やサポーターに落とし込めるかが指導者の力の見せ所だと私は考えています。
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