序章:「こだわり」と「固執」
拘りと固執は私の中では大きく違うと思っています。
皆さんに説明しやすいようにネットで検索したことと、知恵袋に書かれていたことを私の考えに近づけるようにまとめてみました。
「こだわり」「こだわる」は、漢字では「拘」の意味になり、本来の用法では「つまらないことを必要以上に気にする」「つまらないことに心がとらわれている」というネガティブなイメージだと思います
しかし最近は、「細かいところまで手を抜かない」「妥協せずよりよい価値を追求する」というポジティブなイメージで、「こだわりの逸品」や「鮮度にこだわる」などの表現をよく目にしませんか?
この「こだわり」は自分軸はあるが基本的に寛容で、良いものは良いと認める柔軟さがあるとか考えています。イメージとしては「自分の思考」と「他者の思考」の関係が肯定的に広がっている状態です。例えば、「あれは良いと思うけど、自分のこだわりとしてここは外せない」というように自分の軸はあり且つ、柔軟な姿勢で受けて入れていると上記は読み取れます。これは、自分の価値観を大切にしながらも他者の意見や価値観を尊重するスタンスです。
一方で、「固執」は基本的に排他的で、「これ以外は良くない」とする態度を示します。自分と他者の断絶的なイメージ。「あれは駄目だ、本来こうあるべきだ」という表現になりやすいです。これは、自分の考え以外を否定し、他者の価値観を受け入れない姿勢ですね。
このように、「こだわり」と「固執」は一見似ているようで、その背後にある心の持ちようや他者との関わり方に大きな違いがあります。「こだわり」は妥協せずにより良いものを追求しつつも、他者を尊重するポジティブな姿勢であるのに対し、「固執」は自分の考えに固執し、他を排除するネガティブな姿勢と言えます。
ここで本題に戻ります。
よく「自分達のサッカーをやろう!!」という声かけを耳にします。その言葉自体は悪くないし問題ないと思っています。しかし、自分達のサッカーが「相手」によってはできないケースも存在します。そのように自分達のサッカーができない時にどうするか??これを考えておくことは非常に大切です。
あなたは自分たちのスタイルに「こだわり」ますか?それとも「固執」しますか?
柔軟な思考と戦術
サッカーには相手がつきものです。自分達が思考するサッカーを貫いていくことは非常に大切な考え方ですが、相手に応じて戦い方、攻撃の仕方、守備の仕方を変えていくこともゲームを有利に進めるためには必要なことになります。
例えば、相手が前線から人数をかけてハイプレッシャーをかけてくるチームだとします。その相手に対して、自陣からショートパスを繋いでビルドアップしていくことが本当に有効な手段かどうか??もちろん相手の力を見てそれでも問題なく前進できるのであれば良いですが、ロングボールを前線に送り込み、相手のプレスを無効化することも一つの手段です。
それが、「自分のチームのスタイルと合わないからロングボールを蹴りません」といって、相手のプレスにハマり失点を重ねるケースを目にすることがあります。それは有効な手段とは言えません。まさにこれは固執です。判断が伴っていない戦術の選択とも理解できます。
もう1つ事例を紹介させてください。
相手のG Kの足元の技術が少し低くビルドアップができない場合、「うちのチームは中盤で構えて守備をするチームなので、前線からハイプレッシャー(G Kにプレッシャーをかけにいくこと)はしません」という戦い方が良いかどうか?
もちろん賛否あっても良いと思っています。
私のチームでは「相手のウィークを5〜10分で見つけて、どこから攻めるか?どこからボールを奪うか?どの選手にボールを持たせても良いか?どの選手にはあまりボールを触らせたくないか?」といったことをピッチ内で共有することを求めています。
ピッチ外からスタッフも含めて客観的な情報も伝えて、ピッチの中で感じていることをすり合わせていきます。
もちろん「攻守において主導権を握る」というコンセプトをもとにプレーはしますが、選手・配置・相手・天候によって少しずつ変化できることがベストです。コンセプトから外れるプレーを選択したとしても、選手がそう判断をしたのであれば大きく問題になることはありません。
ただしバランスは大切です。できるのに敢えてやらない場合はこちらの意思を伝えます。
相手を見ながら、状況を見ながら戦うことは重要な要素であると考えています。
そして指導者自身も状況から判断して戦術指示をだすことが重要だと考えています。
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