サッカーのフォーメーションを議論する上で、「4バック」と「3バック」は最も基本的な分類の一つです。これらの違いを、単純に「最終ラインの守備人数が4人か3人か」という“枚数”の問題として捉えている方も多いかもしれません。しかし、現代サッカーにおける両者の本質的な違いは、その数字にはありません。
実際の違いは、ピッチ上の「構造」、選手に与えられる「役割」、そして監督が描く「戦術的な意図」にこそ存在します。本稿では、この4バックと3バックという二大システムについて、単なる人数の差を超えた、その構造的な違いと戦術的な意味を深く掘り下げていきます。
枚数ではなく“構造”に注目する
一見すると、4バックは4人、3バックは3人で守るシステムのように思えます。しかし、実際の試合中の選手の動きは極めて流動的です。例えば、4バックのチームであっても、両サイドバックが同時に高い位置を取れば、後方に残るディフェンダーは実質2人しかいない、という場面は頻繁に起こります。
逆に、3バックのチームが守備の局面を迎えれば、両脇にいるウイングバックが最終ラインまで下がり、5人のディフェンスラインを形成することも一般的です。これでは、3バックの方が守備人数が多いということになってしまいます。
つまり、フォーメーションの数字は、あくまで試合開始時の「出発点」を示すものに過ぎません。実際の守備人数は、試合の状況やボールの位置によって常に変化します。本当に注目すべきなのは、「どのような構造でピッチ上のスペースを管理しているか」、そして「どのエリアで、どのように数的優位を作り出そうとしているか」という点なのです。
選手の役割とポジショニングの違い
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