はじめに:帰ってきた赤い彗星
今回は現在開催されている全国高校サッカー選手権においてベスト4に勝ち残っている東福岡高校について書いていきたいと思います。
私が高校生の時の東福岡高校は、憧れのチームでした。特に私の2歳上の学年は本山選手、古賀選手、千代反田選手、宮原選手といったタレントを擁して選手権優勝「雪の決勝戦」を制したチームで、特に左ウイングの古賀選手のプレーは自分とポジションが一緒だったためビデオが擦り切れるほど繰り返し見ていた記憶があります。
そんな東福岡高校ですが、選手権の舞台は3年ぶり。しばらく選手権の舞台から離れておりましたが、今大会はベスト4に進出。準々決勝では同じプレミアリーグに所属するテクニック集団「静岡学園」をP K戦の末破り、復活の狼煙をあげています。
東福岡の戦い方を紹介する前に、近年の優勝校の傾向をまとめてみました。(あくまで我々の意見です)
攻撃面の傾向
高い位置からのプレスを起点としたショートカウンター
- 近年の優勝校の多くは、前線から積極的にボールを奪いに行く「ハイプレス」を採用し、奪った直後にショートカウンターを仕掛けるスタイルを重視しています。
- 相手のビルドアップに対して前線から激しくプレスをかけ、ショートカウンターで一気にゴール前まで迫る場面が印象的でした。
サイド攻撃のため、再度にキーマンがいる
- 近年は中央を固めてくる相手が多いため、サイドを効果的に使うチームが結果を残すケースが増えています。
- サイドバックやウイングが広範囲に上下動して数的優位を作り、深い位置までボールを運んでからのカットバックやクロスで得点を狙うパターンが顕著です。そのために中央ではなく、再度にもチームの中心選手、キーマンがいる印象です。
セットプレー
- セットプレーでの得点が勝敗を大きく左右します。
- 特に近年の優勝校は、フリーキックやコーナーキック、ロングスローなどのバリエーションを多数用意しており、ここで得点力の差を見せつけることが多いです。
- CBやボランチの空中戦・身体能力の高さを生かしたゴールや、セットプレーの連携で幾度となく試合を決めています。
守備面の傾向
連動した守備
- チーム全体で連動して相手にプレッシャーをかけることが徹底されています。
- ファーストディフェンダーのアプローチだけでなく、セカンド・サードと続き、寄せも速く相手にパスコースを与えない組織的な守備が特徴的です。
コンパクトな陣形としっかりとしたブロックの形成
- 自陣に引いてブロックを作る「リトリート守備」を適宜織り交ぜるチームも見られます。
- コンパクトな陣形で中央や再度を固めることで相手に決定機を与えない守備。
- 「プレスの強度を高める時間帯」と「ブロックを作って耐える時間帯」を使い分け、攻守の切り替えがスムーズなチームが安定して勝ち切る傾向です。
センターバックのフィジカルとカバーリング能力
- 空中戦の強さや球際での対人能力が高い選手を擁しているケースが多く、特に空中戦・球際でものプレーが目立ちます。
- また、ラインコントロールやカバーリングの意識が高く、裏への抜け出しやカウンターに素早く対処できる守備陣が整っていることも重要です。
東福岡の戦術
東福岡は伝統的に下記のような4−3−3のシステムで、
両ウイングを生かした再度アタックを得意としています。東福岡高校からは優秀な再度アタッカーが輩出されているという印象です。しかし、今年のチームはプレミアリーグでも4番目に失点が少ないチームで「守」のチームとなっています。
今大会も無失点で県予選からは7試合連続のクリーンシート。強固な守備をベースに試合を進めています。P K戦も2試合ものにしており勝負強さも兼ね備えています。一回戦の尚志高校、準々決勝の静岡学園は共にプレミアリーグのチーム。
圧倒的なテクニックと攻撃力を兼ね備えたチームで攻め込まれることも多かったですが、191cmの守護神G K後藤選手、大型C Bの大坪選手、山禄選手を中心とした「赤い要塞」と呼ばれる守備で、粘り強く勝ち上がっています。インサイドハーフの2人がアンカーの脇に下がって4−3のブロックを形成することも行います。攻撃力の東福岡という印象を変えてしまうくらいの守備組織を構築しています。
一方の攻撃は東福岡といえばサイドからのクロスやウイングの個の力での突破からの攻撃というイメージでしたが、今年のチームはインサイドハーフやセンターフォワード、そしてサイドバックがサイドで関わりをみせ、距離を縮めてショートパスで相手を崩していくという多彩な攻撃を見せています。まさに「進化した赤い彗星」といったイメージです。
今後の戦いも是非注目していきたいと思います。
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