今回は「楽しいトレーニング」とはどのようなトレーニングなのか考えてみたいと思います。
選手たちは「楽しみたい」「楽しいトレーニングをやってほしい」という思いがあります。
また多くのプロサッカー選手たちも「サッカー自身を楽しむことが大事」とよくインタビューに答えています。
そして私たちコーチもおそらく「楽しい」トレーニングを作って実践したいと思っています。
しかしながら、ここで指導者には共通の疑問が浮かぶのではないでしょうか?
そもそも「楽しい」とは一体なんなのだろうか?
楽しいだけで勝負に勝てるのか?
辛い練習・苦しい練習がメンタルを育てるのではないか?
そこで今回は「楽しいトレーニング・練習」についてと考えてみました。
なぜこのようなことを考えたか
今の時代、ゲームが非常に手軽に楽しめる世の中になっています。街を歩けばスマホを片手にゲームをしている方々をよく目にします。そして、サッカーはそのゲームを上回っていくものでないと選手たちがサッカーをすることから離れていってしますのではと考えたからです。
もちろんスポーツの良さは体を動かすという楽しさがあるため、単純な比較はできないと思います。ただ、ゲームではなくサッカーを選んでもらうために何ができるかを考えてみました。
まず、ゲームの要素。これは4つの要素が挙げられると思います。
1.対戦(相手がいてそれを倒すこと)
2.育成(自分のキャラクター等を育てて、強くする。または自分の技術を磨く(キャラクター操作など))
3.収集(より強い、より好みの武器やキャラクターを手に入れる)
4.交換(友達等とキャラクターや武器を交換してより強いものを手に入れる)
この4つが挙げられると思います。私も最近はあまりやりませんが、以前はゲーマーでした笑
この要素があるためゲームはとっても面白くハマっていました。そして次から次へと新しいゲームが生まれるという強みもあります。
ではこのような要素をサッカー(試合・練習ともに)に取り入れたらもっと面白く楽しいと感じることができるのではないかと考えました。
私が考える楽しいトレーニングとは以下の8つの要素が必要不可欠かなと思っています。
全力で取り組む
これは必須です。100パーセントの力でトレーニングに取り組むからこそ101パーセントの自分の力が発揮されるようになり自分の力を高めていくことになります。
相手がいる場合、私はよくゲームのドラゴンクエストを例に出します。相手が一番最初に戦うスライムばかりだったらそのゲームは楽しいか?どんどん強い相手が全力で主人公(みんな)を倒しに来るからそれに勝ちたいと思ってレベルを上げたり(経験値を増やす)色々な道具(テクニック)を身に付けたりしていくでしょ?といった話をします。全力で向かってくる相手をやっつける。そして、また新しい力を身につける。そんな雰囲気のトレーニングを作り出したい。
ゲーム性(相手との駆け引き)
サッカーの楽しさの一つにやはり相手が存在してルールの中でその相手と駆け引きをして逆をとったり、スピード、パワーで上回ったり、スピード、パワーで勝てない相手に対してどう作戦を立てて打ち勝つかが楽しさの一つである。
だからこそ、トレーニングの中には必ず相手がいる状況を作りたい。そしてルール設定の中に1点でも多く取った方が勝ちとか、この意図するプレーができたら得点は倍などどのようなオーガナイズにするとよりゲームが活性化するかも考えたい要素です。
成長を実感
やはりトレーニングを行なっていく際に自分が「上手くなっている」「進歩している」を実感していくことが大切です。それはひょっとしたらコーチに「成長を認めてもらう」ということも含まれるのかなと。
わかりやすく例えると「1回しかできなかったリフティングが10回できるようになった」などは非常にわかりやすいですし、1人にフォーカスするパーソナルや、目に見えて成長がわかるドリブルスクールなどはこの成長を実感して、サッカーがどんどん好きになるという面で非常に良いものだと思っています。
そしてその他にも、観る力が上がり相手に応じて判断を変えることができるようになってきたり、できなかった技術を身に付けたり、成長を実感する、もしくは成長を実感できるコーチングというものはとても多くの場面で存在していると思います。
もちろんそればかりではありませんが勝てなかったチームが勝てるようになるというのも成長を実感する一つのものです。
できたという達成感
これは3とも似ていますが、コーチの役割として「上手くいかない」シチュエーションをたくさん用意しておき、それが「上手くいく」ようになっていくようにする。これも大きな要素です。上手くいかなかったことが「できた」。これも楽しいトレーニングにつながると考えています。できたという達成感は本当に次へのモチベーションになると思っています。
バリエーションが豊富
ある元プロサッカー選手に話を聞いたときに、元日本代表監督のオシムさんのトレーニングはめちゃくちゃ面白かったといっていました。理由を聞くと同じメニューがなく毎日違うメニューで「今日は何をするのだろう?」というワクワク感があったからだと。
プロの選手たちはおそらくさまざまなトレーニングを経験してきているはず。そのプロの選手たちが「どんなトレーニングをするかワクワクする」のである。
もちろんメニューが豊富なだけではなく成長が実感できたり、達成感があったりといった他の要素も大きかったと思いますが、間違いなく豊富なメニューというものはワクワクを持たせるためには大事なことだと考えています。
味方と協力
サッカーというスポーツの良さは11人の味方とプレーをしていくチームスポーツであるということ。私の子供たちは今「ポケモン」にハマっています。その中には仲間と協力してポケモンを捕まえるといった要素があり、友達と協力して楽しんでいます。そこにはコミュニケーションも生まれています。
サッカーも点をとる、ゴールを守るという目的がありそれを達成するために仲間と協力することがマストです。そしてみんなで同じ目標に向かってプレーをするという楽しさをトレーニングから身につけていくことは大切だと思っています。互いに励まし合う、高め合う雰囲気。そういった要素もトレーニングの中にあると良いですね。
適度な負荷
やはり毎日のトレーニングで「やり切った」「力を出し切った」ということを実感できるトレーニング、これも必要です。そこには適度な負荷が必要になってきます。
もちろん試合の前日で負荷を下げるということも必要ですが、「負荷を下げる」という感覚こそが大切で、下げるということは「上げる」という日が必ずあるということ。この負荷をコントロールすることが大切です。お腹いっぱいにさせずに「もっとサッカーをしたい!!」と思わせることも時には必要なのかもしれません。
チームが強くなる
トレーニングの目的の一つにチームが強くなり、試合に勝てるようになることがあると思います。個の能力アップももちろんですが、試合から逆算されているか?試合で必要なスキルを身につけるためのトレーニングか?というところはコーチが常に頭の中に入れていないとサッカーの本質から外れてしまいます。
チームが少しずつ強くなっているということを実感させることも必要な要素です。
いかがでしたでしょうか?これ以外にもコーチの方々が考える要素はたくさんあると思いますが、私はこのような要素が全て含まれていると非常に楽しくなるのではないかと考えています。
これからも「楽しい」と感じるトレーニングを考えていきたいと思います。
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