はじめに
メソッドラボは町田ゼルビアに関しての記事をいくるか紹介しております。冒頭でそちらの紹介させてください。
本題に移りたい方はこちらの項目は飛ばしてください。



独自視点
2024年シーズン、町田ゼルビアはJ1初挑戦ながら堂々の3位という驚きの成績を残し、多くのサッカーファンを驚嘆させました。もともと「守備に定評のあるチーム・運動量の多いチーム」という印象が強いクラブでしたが、昇格初年度の戦いぶりはまさにその“堅守”をベースに、効率的な先制逃げ切りで勝点を積み上げるという新たな形を確立したと言えます。
2025年シーズンに入り、昨年の成功を足がかりにしてさらなる上位進出やタイトル獲得を目指すべく、攻撃面・守備面ともにアップデートを図っているところです。ここでは、まず2024年の戦い方を改めて振り返りつつ、そこからどのように2025年へ繋がっているかを考察していきたいと思います。加えて、新戦力や既存主力の特徴を踏まえ、今季の町田ゼルビアに期待されるポイントを独自の視点からまとめます。
2024年シーズンを振り返る
昇格初年度、想定外の大躍進
2024年シーズンは、町田ゼルビアにとって記念すべきJ1初挑戦の年でした。昇格組は往々にして「残留争い」が現実的な目標になりやすいのですが、町田は開幕ダッシュに成功し、一気にリーグ上位に躍り出ます。前半戦で首位に立った時期があり、その後も成績を大きく崩すことなく最終的には3位フィニッシュという快挙を成し遂げました。
得点数こそリーグ中位程度でしたが(最終的に54得点)、リーグ最少の34失点という堅守が光り、勝点66を獲得。「1点先取すれば負けないサッカー」「1点を積み重なる」を体現するチームとして、一躍注目を集めました。
4-4-2をベースとしたハイプレス戦術
監督は2023年に就任した黒田監督です。高校サッカー界で培った統率力と分析力を武器に、町田に「負けないサッカー」を根づかせた立役者です。2024年は基本的に4-4-2の布陣を採用(終盤からは3バックへの変更)し、守備時には前線の両サイドを大きく押し上げて4-2-4に変形して激しいハイプレスをかける特徴がありました。
もし相手のビルドアップが上手くいっていれば、ハーフライン付近でミドルブロックを敷いてサイドに追い込むなど、瞬時にシフトチェンジを行う柔軟性も持っていたのが強みです。いずれにせよ共通していたのは、「高い位置から奪って、素早くゴールへ向かう」という明快な指針。攻撃面では、ポストプレーに優れたFWをターゲットにロングボールを当て、セカンドボールを中盤やサイドの選手が回収して二次攻撃を仕掛けるシーンが目立ちました。
守備力がもたらす“先行逃げ切り”の完成度
2024年町田の真骨頂は何と言っても守備力です。実際、昇格初年度でありながらリーグ最少失点(34)を記録し、「失点をしないから大崩れしない」戦いを終盤まで続けました。
- 中でも、昌子源やGK谷晃生といった主力が軸となり、1対1の強さや空中戦での競り勝ち、最終ラインからの正確なフィードがチーム全体の落ち着きを生み出していました。
- 攻撃で先制点を奪った後は、よりコンパクトに守備ブロックを形成し、試合巧者ぶりを発揮。1点勝負の試合をものにし、勝ち点を積み重ねる“先行逃げ切り”スタイルがリーグ戦で威力を発揮したのです。
最終節近くまで優勝を争う立ち位置にいながら、32節以降で勝ちきれない試合が重なり3位に留まったものの、初参戦としては歴史に残る大成功を収めたシーズンでした。
カップ戦での苦戦と課題
リーグ戦がこれほど好調だった一方で、カップ戦(天皇杯・ルヴァンカップ)では想定外の苦杯を喫する場面が見られました。
- 天皇杯は2回戦で大学チーム(筑波大学)に敗れる波乱。
- ルヴァンカップでは初参加ながらベスト8進出を果たす健闘はしたものの、準々決勝で敗退。
この点はクラブとしても「もう一段階の底上げ」が必要と認識され、2025年に向けた積極補強や戦術的な新たなチャレンジへと繋げていく必要があると推測されました。
2025年に向けたアプローチ
補強
オフシーズンの町田は、昨季の戦いから浮かび上がった課題に対してピンポイントで補強を行いました。特に前線と守備陣における「一芸に秀でた即戦力」を迎え入れ、チーム全体の底上げを狙っています。
- FW西村 拓真: ロングパスの精度が高く、サイドに流れてのチャンスメイクも期待できるアタッカー。前線から守備に参加する献身性も大きな武器。
- FW相馬 勇紀: ドリブル突破とタックル成功率の高さを両立する選手。昨季の町田には数少ない個人技で仕掛けるアタッカーとして存在感を放ちそうです。
一方、最少失点を誇った守備陣は大幅に変えず、高さを補う大型CB菊池 流帆の加入など最小限の補強を実施。これにより「空中戦へのさらなる対応力が増す」という効果が見込まれます。補強自体の数は多くありませんが、明確な狙いがあり、主力とバックアッパーの力差を埋める意味でも大きなインパクトを与えそうです。
システム面での微調整
昨季は4-4-2をベースに戦いましたが、2025年に入って3バック構成システムに変更。
- 攻撃時には西村や相馬のようなドリブル・フィードに特徴を持つ選手をワイドに置き、中央にはポストプレーでキープできるFWを配置。
- 守備で4-2-4に変形する一方、相手がビルドアップに長けるチームであれば、中盤がやや引いて4-4-1-1のような形で慎重に構える。
このように、状況に応じて“変幻自在”の布陣を使いこなすことができれば、昨年以上に柔軟かつ多彩な攻撃オプションを発揮できると考えられます。黒田監督の戦術アプローチは確立しているので、選手たちの連携が深まるほど効果が期待できるでしょう。
2-3.キープレイヤーの成長と役割分担
- 前 寛之(まえ ひろゆき)
クリア数がチーム最多を記録しているように、中盤の底から守備に尽力しながら、簡単なパス回しでリズムを作る「縁の下の力持ち」。彼が健在である限り、中盤のバランスは崩れにくいと言われています。 - 仙頭 啓矢 & 白崎 凌兵
攻守の切り替え役として、運動量に優れる仙頭とクリエイティブなパスを通す白崎の組み合わせは、昨季の町田にはやや不足していた「中央の推進力」を補います。特に白崎は狭いエリアでボールを失わずにキープできるため、急ぎすぎず落ち着いて攻撃を組み立てられる要素をチームにもたらしているようです。 - DF陣(昌子源・中山雄太・菊池流帆など)
守備リーダーである昌子は対人・空中戦ともに高水準で、チームの中心を担う存在。そこに中山の左足のビルドアップ力や、菊池の高さが加わることで、昨季以上に多彩な守備陣形が作れると期待されています。 - GK 谷 晃生
昨季からの守護神として、シュートストップ能力やハイボール処理の安定感が評価されています。チーム全体が自信を持ってラインを高く保てるのは、最後尾に谷がいるからこそと言えるでしょう。
2025年シーズンに寄せる期待
さらなる“攻守バランス”の高次元化
2024年は「堅守から先制し逃げ切るスタイル」が注目を集めましたが、今季はそこに新たな攻撃オプションが加わり、チームとしての幅が広がりつつあります。例えば、ドリブルやロングパスというそれぞれ異なる武器を備えたFW陣は、従来の“ポストプレー頼み”から抜け出し、多様な形でゴールを奪える強みを作り上げつつある段階です。
守備面においては、既存のハードプレスと高いラインコントロールが昨季すでに成熟しており、そこに高さを補強した菊池がフィットすれば、セットプレーやハイボール対応もさらに安心感が生まれるはずです。攻撃・守備の両面で“さらにワンランク上”を期待しても不思議ではありません。
カップ戦とACL参戦への視野
昨季はカップ戦での苦戦が目立ちましたが、今季は選手層が厚くなり、ローテーションの柔軟性が増しました。ACL出場権も獲得しているため、過密日程を乗り切るマネジメントが求められるでしょう。
この点でポイントとなるのは、複数ポジションをこなせる選手が増えたこと、および黒田監督の的確な試合ごとの采配。リーグ戦だけでなく、天皇杯・ルヴァンカップ・ACLといった舞台でも、どこかに的を絞るのではなく、まずは「すべてを並行して勝ち進む」チャレンジを見せてくれるはずです。もしここで結果が伴えば、町田は“昇格2年目でマルチタイトルに絡むクラブ”として国内外に強いインパクトを与えるでしょう。
3-3.新たな“エース”の台頭とチームスタイルの確立
2025年は西村や相馬といった、新たに加わったFW陣が二桁得点に到達できるかが注目されています。1シーズンを通して“爆発的な点取り屋”が現れれば、チームスタイルにさらなる奥行きが生まれ、リーグ戦での上位定着はもちろん、シーズン終盤の優勝争いでも大きなアドバンテージを持てるでしょう。
同時に、引き続き堅守をベースにした「負けないサッカー」を進化させつつも、個の力で打開できるアタッカーが複数いるとなれば、勝ち点3をより確実に拾える機会が増えるはず。町田ゼルビアは今シーズン、「さらにゴール数を上積みしながら、なおかつ最少失点を維持できるかどうか」がキーとなるでしょう。
高まる攻撃への期待とさらなる堅守
町田ゼルビアは2024年シーズンJ1初年度にして驚異的な結果、3位に輝きました。黒田剛監督が掲げる「負けないサッカー」は、徹底したハイプレスとコンパクトな守備ブロックによって確固たるものとなり、さらに2025年シーズンは攻撃面でも新要素が加わりつつあります。
すでに期待値が上がってしまったため昨季ほど相手を驚かせる“意外性”はなくなるかもしれませんが、その分だけ研究されながらも勝ち点を積み上げる持久力が問われるシーズンになるでしょう。新戦力の適応や主力のさらなる成長が順調に進めば、ACL出場権の確保、カップ戦での上位進出、あるいはリーグ優勝戦線への再突入といったシナリオも現実味を帯びてきます。
「鉄壁の守備」「セットプレーでの得点」を大前提として、そこに「個の打開力」「多彩な攻撃パターン」を上乗せした今季の町田は、対戦相手にとって非常に厄介な相手になりそうです。そしてなにより、昨季の爆発的な開幕ダッシュだけでなく、長いシーズンを通した安定感こそがチームの真価を問われるポイントです。黒田監督と選手たちがどのようにチームを仕上げ、1年を戦い抜くか――その一挙手一投足に日本サッカー界ならずサッカーファンからの注目が集まります。
最終的にどのような結果が待ち受けているにせよ、「町田ゼルビアが2025年にどれだけ新しい景色を見せてくれるか」**は、大いに期待してよいでしょう。攻守のバランスを高次元で融合させながら、さらなる進化を遂げるであろうチームの姿に、多くのサポーターが熱い視線を送っています。昨季のサプライズを超える、新たなドラマが2025年のJリーグシーンで生まれるかもしれません。いまや町田はその台風の目となりうる存在であり、今シーズンこそ真に“タイトルを狙うチーム”として名乗りを上げるチャンスなのです。
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