町田ゼルビア/黒田監督から学ぶ【ブレずに勝ちにこだわること】:目的・目標・手段の明確化

指導哲学/考え方

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私は昨日の記事でビルドアップの目的とリスクについて書かせていただきました。




私は何度も今まで伝えてきましたが、サッカーの目的を理解するこはとても重要です。

しかしながら多くの方が「プロセス」を重視しすぎてしまっている傾向が強いと感じる時があります。

特に町田ゼルビアの黒田監督のようなサッカーを
ロングボールを放り込むだけ
ロングスロー作戦
見ていて面白くない

と批判する方もいるでしょう。

しかしながら、間違いなくサッカーの本質をついており勝ちにこだわったチーム作りを展開しています。

今回は、各スポーツ紙でも取り上げられている黒田監督の発言に関して私が思うことを書き進めたいと思います。まずは以下の文章をお読みください。

自身が常勝軍団に築き上げた青森山田高は、全国高校サッカー選手権でV奪回を果たし「やっぱり強かったな」と古巣の選手やスタッフを絶賛。「これが世界で通用していくサッカーだ」と青森山田のスタイルこそが日本サッカーの目指すべき〝理想〟と強調した上で、こう力説する。
「あんまり足元でチャカチャカやって、何本パスをつないで点数を取るというサッカーが果たしてサッカーかと言った時に、やっぱり日本の〝甘さ〟というのはそこにあるわけで。ありとあらゆる方法で得点を取りにいく、そして、ありとあらゆる方法でゴールをしっかりと死守していくという」。不必要にパスをまわしたり時間をかけすぎるという日本サッカーの〝悪癖〟を指摘しつつ、攻守が一体となったスピード感あふれるスタイルの重要性を熱弁した。

東スポWEBより引用
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/288962

この発言が炎上していると多くのメディア・SNSでは取り上げられているのかなと思いますが、確かにある所で区切りると非常に悪い印象を与えかねません。

例えば…
「足元でチャカチャカ」
「何本パスをつないで点数を取るというサッカーが果たしてサッカー」
「あらゆる方法で得点を取りにいく、そして、ありとあらゆる方法でゴールをしっかりと死守」

の3つの文章だけを取り上げて、以下のように考察できてしまうかもしれません


どれだけ魅せるサッカー・観ていて楽しいサッカーのためにドリブルを磨いてチョコチョコやって、バルサのような流れるよな綺麗なパスワークでゴールを取ることを「美化」したところで、結局点が取れなければ意味がない。


我々(青森山田高校)がとっているフィジカルと徹底的に鍛え、ロングスロー等を多用して最短でゴールを目指す戦術こそ勝つために必要な要素である。そんなありとあらゆる方法でゴールを目指そうとしないのが甘い。


↑(あくまでも個人的な意見です。批判の意図はありません)


こういった発言に対して

「観ていて面白くない」
「自分たちの戦術の正当化」
「パワー頼りでおもしろくない」

等の批判が湧くのだと思います。

そして町田ゼルビアのサッカーも同様です。

プロの世界では勝つことと同時に魅せることも求められます。しかしプロセスに拘り過ぎて負けるよりも勝った方が選手もチームもサポーターも嬉しいはずです。

目的・目標・手段を間違えてはいけない

なんとなく分かっているけど上手く説明できない。
それが「目的・目標・手段」の違いです。以下に例を出しましたのでご確認ください。

目的 (Goal)

目的は、最終的に達成したい大きな目標やビジョンです。長期的な視点で見たときの大きな成果や状態を指します。

目標 (Objective)

目標は、目的を達成するための具体的なステップや段階です。具体的で測定可能な短期的または中期的な達成項目です。

手段 (Means)

手段は、目標を達成するために使用する具体的な方法や手法です。

例:健康的な生活

  1. 目的: 健康で長生きすること。
    • 最終的な目標として、健康で長生きすることを目指す
  2. 目標: 1年で10kg体重を減らすこと。
    • 健康的な生活を送るための具体的な短期目標として、1年で10kg体重を減らすことを設定する
  3. 手段:
    • 毎日30分の運動をする。
    • バランスの取れた食事を摂る。
    • 1日2リットルの水を飲む。



ではここから、サッカーで考えてみましょう。

例:全国大会で優勝する

  1. 目的: 全国大会で優勝すること
    • 長期的な目標として全国大会で優勝する
  2. 目標: 8年以内に全国制覇。
    • 中期目標として、2年以内に県大会ベスト8、4年以内に全国大会出場、6年以内に全国大会ベスト8
    • 同様に地域リーグからプリンスリーグへの昇格
  3. 手段:
    • 五分五分の戦いをするのではなくボールを大事に前線に運びこむビルドアップを基本とする
    • 3-4-3の攻撃型布陣をとる
    • 前半の序盤はロングボール、ロングスローを中心としたリスクを負わない戦い方をする

このようにして冷静に振り返ってみると、いつも批判されるのは手段であり大切な目標を見失いがちです。しかしながら、町田ゼルビアの黒田監督のすごいところはあくまでも手段は手段であり、目的・目標に対して忠実にしたたかに行動しているところだと私は考えています。


サッカーの目的から考えた時


まず、過去に「サッカーの目的」についてnote記載させていただきました。
まだお読みでない方は以下を参照してください。

サッカーの目的は

攻撃:ゴールを奪る・相手よりも1点でも多くとる
守備:ゴールを守る・相手よりも失点を抑える

となります。究極的にはこの2点さえ徹底できればサッカーというスポーツにおいては「勝者」になることができます。

この点を踏まえて
「あらゆる方法で得点を取りにいく、そして、ありとあらゆる方法でゴールをしっかりと死守」
という発言を考えると、確かに黒田監督は【サッカーの目的】を徹底的に果たそうとしているなと思いました。


極端な話ですが


「パスを10本回してゴールを奪わないといけない」
「ロングスローは禁止」


といったルールはサッカーに存在しません。
この点からもルール内で勝負に勝つといったことを徹底していると私は感じました。

ここもやはり、「目的・目標・手段」を明確にしているからだと感じます。


相手とのミスマッチを攻め、無駄を削ぐ


相手とのミスマッチを探して、そこを徹底に攻めることも重要であると感じます。

「青森山田高校はフィジカルサッカーでおもしろくない」
「町田ゼルビアのサッカーはファールばかり」

という評価もあるかもしれませんが、青森山田高校時代は徹底して「高校サッカー選手権」のミスマッチ(フィジカルが弱い)を攻略し町田ゼルビアではリスクを負わずに勝ちにこだわるサッカーを展開しています。

よってこの「フィジカル的なミスマッチ」を徹底的に攻め続けた彼らの戦術は、賞賛に値すると思いますし、徹底的なリスク管理をして勝ちにこだわるサッカーを展開している町田ゼルビアもとても凄いと私は考えています。


指導者・チームとして戦術を貫くということ


青森山田高校がロングスロー戦術を多用した結果、高校サッカー界では多くの高校がロングスローを多用したと私は思っています。そしてJリーグでも同様の現象が起きていると思います。

無駄にリスクをとる必要があるのか?を見つめなおしている指導者の方も多いのではないでしょうか?


野洲高校が優勝した!!→「よし!!セクシーフットボールを目指す」
静岡学園が優勝した!!→「よし!!個の足元の技術が大事だ!!ドリブル練習だ!!」
青森山田が優勝した!!→「よし!!ロングスローとロングボールを多用して戦おう」


のように、ブレブレの戦術に自チームはなっていないでしょうか?

どんな批判を受けても、どんなにバルサのサッカーが良いと言われても徹底的に自分たちのスタイルを貫いて勝負にこだわる。

そのブレない芯の強さは尊敬に値すると私は考えています。

レヴァークーゼンがどんなに強いからといって、我々はブレてはいけません(笑)



まとめ


以上を踏まえて、町田ゼルビアの活躍、黒田監督の発言・考えを再度踏まえると

目的・目標・手段を間違えてはいけない
無駄を削いでリスク管理を徹底する勝ちにこだわり、サッカーの目的を達成すること
自チームの戦術の軸はブラさず、目標からの逆算をして手段(戦術)を考える

とも私は読み取れました。

皆さんも是非、流行りのサッカーに流されることなく「サッカーの目的」を理解した上で自チームの「スタイル・戦術・軸」を考えてみてはいかがでしょうか?

そして目的・目標・手段をまちがえないようにしましょう。

以下の記事も是非、ご覧いただけたらと思います。

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