守備を語るとき、まず押さえておきたいのが「誰を見るのか/どこを見るのか」という視点です。前者がマンツーマンディフェンス(マンマーク)、後者がゾーンディフェンスです。どちらが正解というものではなく、相手の特徴や自チームの選手構成、試合の流れに応じて強みと弱みが表に出ます。本稿では両者の本質と実戦での使い分け、現代的なハイブリッド運用までを整理します。
マンツーマンディフェンスの本質
マンツーマンは「担当を決めて責任を明確化する守備」です。各選手が特定の相手を捕まえ、相手の移動に合わせてついていきます。狙いはキープレイヤーの自由を奪い、ボール保持側の意思決定を遅らせることです。1対1の勝負が多くなり、奪い切れなくても背中を向かせたり横パスを選ばせたりと、相手の選択肢を狭めるだけで価値があります。
強みは分かりやすさにあります。役割が明確で指示がシンプルなため、ゲーム中の迷いが減ります。特にエースストライカーや司令塔を封じたい試合では効果的です。一方で、担当がピッチ全体に引き出されるとライン間の距離が開き、カバーが遅れると数的不利を招きやすくなります。運動量の要求も高く、90分間の継続にはフィジカルと集中力が不可欠です。
ゾーンディフェンスの本質
ゾーンは「エリアを守り、ボール移動に合わせて全体でスライドする守備」です。マーク基準は“人”ではなく“場所”。自分のゾーンに侵入してきた相手に対応し、隣の味方と受け渡しながらブロックを保ちます。ポイントはライン間の距離を一定に保ち、中央の危険地帯を閉じることです。
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