サッカーの試合やトレーニングの現場で、「ボールを持っている場面(On the Ball)」にばかり意識が集中してしまい、「ボールを持っていない場面(Off the Ball)」がおろそかになっていることはありませんか?
実は、サッカーにおける多くの現象――たとえばミスやズレ――は、Off the Ballの状況にすでに兆候が現れている場合がほとんどです。現代サッカーではますます時間とスペースが限られるため、ボールのあるところだけに注目していたのでは見落としてしまうポイントが多数存在します。
はじめに:なぜ「Off the Ball」が大切なのか?
サッカーは“ボールに直接関わる(ボールを保持している)”プレーが大きな見せ場となります。しかし、実際に選手一人ひとりがボールに触れている時間は、90分の試合のうちわずか数分ほどしかありません。ほとんどの時間を「ボールを持っていない状態」です。
では、その「ボールを持っていない状態」に何をしているかといえば、守備側はポジショニング・立ち位置の調整やマークの受け渡しを行い、攻撃側はパスコースを探したり、スペースを作る動きをしたりしています(実際はもっとある)。この見えづらい部分こそが「Off the Ball」です。ここに注目することで、次のようなメリットが生まれます。
- ミスや失点の原因を把握しやすい
- 意図のある攻撃パターンを導き出せる
- 戦術的な駆け引きの幅を広げられる
特に指導者の方にとっては、「試合やトレーニングで選手がなぜ失敗したのか?」を掘り下げるうえで、Off the Ballを観察することは欠かせない要素です。
「Off the Ball」の基本概念とその重要性
「Off the Ball」とは文字通り、「ボールを保持していない時」「ボールに直接関わっていない選手の状況」を指します。攻撃側だけでなく、守備側のオフザボールにも同じように注視する必要があります。以下はOff the Ballが重要とされる主な理由です。
- プレーの予兆はOff the Ballで決まる
サッカーのプレーは「ボールを受けてから考える」のでは遅く、受ける前でほとんど決まっているでしょう。例えば、ボールを受けに動き出している選手のタイミングやスペースの取り方は、オフザボールの状態での準備がすべて。 - ミスや成功の根本原因が隠れている
試合中に「あのパスがずれた」「守備が遅れた」という現象が目につきますが、それがなぜ起きたかを辿ると、ほとんどの場合は事前の準備やポジショニングにズレがあることが多いのです。 - 戦術的な駆け引きはボールとは逆方向で起きている
相手を揺さぶる動き、スペースを作り出す動き、逆サイドの選手のポジショニングなど、ボールのある場面から目を離したところで重要な駆け引きが行われています。この部分が理解できるとサッカーの深みがより増してきます。
ボール保持者ばかりを見ていては気づけないこと
多くの指導者や選手は、どうしても試合や練習でボールに集中しがちです。しかし、以下のような場面を想像してみてください。
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