「どのような手段で前進するか」「どのようにゴールを奪うか」という攻撃の部分には無数のプロセスが存在します。そして、そのプロセスもこサッカーの醍醐味の1つであると言えます。
今回は攻撃・戦術を明確化することの重要性を再確認しつつ、特に「ビルドアップ」に焦点を当て、自チームにしっかりとビルドアップのポイントを伝えられているか? という点を掘り下げていきます。
はじめに:秋葉監督が示す“攻撃方針”の徹底
ここでは少し“余談”として、秋葉監督の指導方針を例に挙げつつ、攻撃・戦術の明確化の重要性を体感いただければと思います。
「バックパス禁止」の意図
秋葉監督はかつて「バックパス禁止」を掲げ、選手に常に前を向く意識を徹底的に浸透させたそうです。このルールは、攻撃の際に横パスやバックパスばかりが増えると“安全策”に陥り、結果として攻撃のスピード・テンポが落ちるという問題意識が背景にありました。禁止する意図としては「相手に守備を整えられてしまう前に、積極的に仕掛けよう」という狙いですね。
前向きなプレーを促進する
「バックパス禁止」という極端な表現によって、選手たちには【前へ進む・前進する】というシンプルなルールが叩き込まれます。もちろん、最終的には全くバックパスしないわけではないでしょうが、「できるだけ前へ前へ」というエネルギーを生み出す仕掛けとして非常に効果的です。まずは意識を変えることが行動(プレー)を変えることに繋がります。
「ビルドアップよりゴールを重視」
また秋葉監督は「ビルドアップには興味がない。」ということを頻繁に口にしていたようです。それはビルドアップそのものを否定しているわけではなく、あくまで“ゴールを奪う”という本来の目的を見失うなという警鐘に近いもの。ビルドアップが好きなチームほど、いつしか「ボールを回すこと」自体が目的化しがちですが、それを防ぐためちょっと過激に聞こえる言葉を発していたと考えられます。
ゴールへの意識
本来はサッカーの原理原則・目的である、攻撃する以上はゴールこそが最終目的であるはずなのに、いつしか「ボール保持が目的」「パス本数を増やすことが目標」などへすり替わってしまう危険性があるのが、ビルドアップの誤認識です。あくまでも目的はゴールを奪うこと、その1つの手段としてビルドアップをしているという意識を選手たちが忘れないように、常に【ゴールへの意識】を強調する必要があります。
厳格化・明確化の意義
秋葉監督の取り組みを見ても、「○○を禁止」「△△には興味がない」という明確なワードでチームに方針を示している点が特徴的です。これが指導者の戦術的意図を伝える際のポイントで、あいまいに「ボールは繋いで、でもリスクは最小限に」などと言うよりも、極端な言葉を打ち出したほうが、選手やスタッフに浸透しやすい場合もあると考えられます。
ビルドアップの本質:攻撃のテンポとゴールへの道筋
秋葉監督の事例でも触れましたが、“ビルドアップ”を過度に目的化してしまうと、単にボールを保持するだけのパス回しに陥り、ゴールが遠のく危険があります。そもそもビルドアップとは何なのでしょうか?
- ビルドアップ:後方(GKやDF)から攻撃を組み立て、相手ゴールへ迫るための工程
あくまでもプロセスです。
なぜビルドアップが必要なのか?
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