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【サッカー講義】ストライカーを「〇〇型」に分類してはいけない:FWを測る3つの軸

結論:ざっくり箱で分けず、座標のように細かく見る

FWは「何型か」ではなく、
3つのものさしの、どのあたりにいるかで見る

フォワードを、ポスト型、裏抜け型、ドリブラー、チャンスメイカーとざっくり箱に分けるだけでは、その選手の本当の良さは見えてきません。分かったのは、フォワードがきれいにいくつかのタイプに分かれているわけではなく、「ボールを運んで前に進む」「チャンスを作る」「ゴール前に入る」という3つのものさしを、どのくらいずつ持っているかで一人ひとりの特徴が決まっている、という見方のほうが近いということです。

同じポスト型と呼ばれている二人でも、片方はボールを運ぶのが得意で、もう片方はパスでチャンスを作るのが得意、ということはよくあります。箱で分けると同じ選手に見えても、グラフの座標のように細かく見ると、まったく違う選手だと分かるのです。





欧州5大リーグのFW331人を分析

項目内容
対象欧州5大リーグの前線の選手 331人
データ2021-22、2022-23シーズンの381件(同じ選手が両シーズンに入る場合があるため)
分析16種類のプレーのデータを、主成分分析(似たデータをまとめて、少ないものさしにする方法)で整理
結果3つの軸で、データの違いの62.7%を説明

62.7%は、選手の能力の62.7%が解明されたという意味ではありません。今回使った16の指標の違いを、3つの軸でどのくらい整理できたかを表す数字です。





FWを測る3つの軸

軸含まれる働き
運ぶボールを前に運ぶ、相手陣内に入っていく、プレッシャーを受けながら前に進む、攻撃の位置を押し上げる
創る決定機につながるパス、味方を前に進ませるパス、ライン間で受ける、ほかの選手のシュート機会を作る
ゴール前に入るペナルティーエリア内で受ける、シュートを打てる位置に入る、ゴールに近い場所でプレーに関わる





多くのFWは、いくつかのタイプの中間にいる

選手をいくつかのタイプに分ける分析も行われましたが、選手どうしの境目ははっきりしなかったそうです。いくつかの分類方法を試しても、多くの選手が一つのタイプに強く当てはまらず、複数のタイプの中間に位置していたのです。

ボールを運ぶ力が高く、チャンスも作れて、ゴール前にもある程度入っていく選手を「ドリブラー」と呼んだ瞬間に、その選手のチャンスメイクの力やゴール前での働きは見えにくくなります。問題は分類すること自体ではなく、一つのラベルによって、それ以外の能力を見なくなることです。





試合に表れるプレースタイルは、本人の能力だけではない

選手の能力 × 任された役割 × チームの構造 × 試合の状況

ボールを運べるフォワードでも、監督からゴール前に残るよう求められていれば、運ぶ回数は少なくなります。チャンスを作る力を持つフォワードでも、チームが中盤で前に進めなければ、低い位置まで下りて受けるしかありません。ゴール前に入る回数が多い選手も、周りの選手がチャンスメイクを担っているからかもしれません。

データから分かるのは、その選手が何をできるかだけではなく、その環境で何をするよう求められていたか、でもあります。データに表れたプレースタイルと、その選手が持っている能力は同じではありません。特に育成年代では、役割を早く固定すると、使っていない能力が伸びずに終わってしまうこともあります。





評価は「何型か」から「どんな働きができるか」へ

機能確認すること
運ぶ自分の力で前に進めるか、相手を引きつけられるか
創る味方の前進やシュートの機会を作れるか
入るゴール前にいいタイミングで入っていけるか

それぞれの機能について、①その能力を持っているか、②今のチームで使っているか、③チームがその能力を必要としているか、の3つの段階で確認します。「使っていない」と「できない」は同じではありません。いつもは背負って受けている選手に、練習で背後を狙う役割を任せてみると、初めて見えてくる力もあります。




タイプ分けは、入口として使う

ポスト型や裏抜け型という言葉がいらない、という話ではありません。問題は、その言葉を結論にしてしまうことです。「この選手はポスト型です」で終わらせず、「今はポストプレーを多く担っている。では、前に運ぶ力やチャンスを作る力はどのくらいあるのか」と、その先まで見ていきます。

  • 今、どの機能を多く担っているか
  • チームの形が変わったら、何が増えて何が減るか
  • どの能力を加えれば、別の役割にも移っていけるか

こうした視点を持つと、評価が育成・起用・補強につながり、同じ選手でも使い方や伸ばし方の選択肢が広がります。





まとめ:問うべきは「何型か」ではない

フォワードの違いは「運ぶ」「創る」「ゴール前に入る」という3つの軸で整理できますが、選手ははっきりしたタイプに完全に分かれるわけではありません。そして試合に表れる行動は、本人の能力だけでなく、戦術や任された役割にも左右されます。

問いの立て方
×この選手は、何型なのか?
○この選手は、どんな働きを、どんな場面で、どのくらいできるのか?


タイプ分けは、選手のことをよく知るために使うものです。選手の可能性を狭めるために使ってはいけません。皆さんのチームのフォワードは、何型と呼ばれているでしょうか。その言葉の先にある働きを、ぜひ一度見直してみてください。

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