――愛知県新人戦ベスト4、2チームから見えた“本質”――
「強いチームを作るには、どんな戦術が必要か?」
指導者であれば、誰もがこの問いを考えたことがあるはずです。ポゼッションか、ハイプレスか。4-3-3か、3バックか。トレンドの戦術を学び、落とし込もうと努力すること自体は、間違いなく重要なことです。
しかし私は今回、愛知県新人戦という舞台で、“戦術の違いを超えた、もっと根本的な共通点”を目の当たりにしました。
私が定期的にサポートしている2チーム(公立高校と私立高校)が、そろって県大会ベスト4に進出しました。スタイルもキャラクターも真逆。それにもかかわらず結果を残せたのは、優れたフォーメーション以上に、指導者の“在り方”と、チームに流れる“空気”に共通する本質があったからです。
愛知県新人戦ベスト4進出の2チームから見えた「本質」
今回ベスト4に入った2チームは、実に対照的な存在です。
| 特徴 | Aチーム(公立) | Bチーム(私立) |
|---|---|---|
| スタイル | ポゼッション重視 | ハイプレス・ショートカウンター |
| 日常の空気 | 穏やか・理知的 | 活気・エネルギッシュ |
今年度の新人戦は「次年度県総体のシードを決める」重要な大会。このフェーズで結果を出せたのは、戦術や環境の違いを超えた「勝つための土台」が共通していたからに他なりません。
勝つ指導者に共通している「6つの資質」
まず、両チームの監督に共通している、指導者としてのマインドセットを整理します。
① 外部の意見を受け入れる「素直さ」と「謙虚さ」
2人の監督に共通して感じるのは、外部の意見に対する姿勢の美しさです。私の提案を「外からの声」として距離を置くのではなく、「チームを良くするための材料」として真摯に受け止めます。指導歴や立場に関係なく「良いものは取り入れる」という柔軟な誠実さが、成長の原動力となっています。
② 情報を「自分なりに変換」する力
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私の話をそのまま鵜呑みにするのではなく、チームの現状、選手の特徴、大会のフェーズを踏まえた上で、“自分の色”に変換して現場に落とし込んでいます。これは、判断の最終責任を自分が持つという「強い意志」の表れでもあります。
③ チームを「人に任せる」ことができる器
すべてを自分でコントロールしようとせず、意図的にスタッフや外部の人間へ役割を委ねることができます。これにより、監督自身が一歩引いて客観視する「心の余白」が生まれ、感情と事実を切り分けた冷静な判断が可能になります。
④ “異常なほど”強い学びの意欲
「すでに結果が出ている」状態でも、彼らは学ぶことを止めません。
- 講習会や勉強会への積極的な参加
- 海外サッカーの戦術議論
- 他の指導者との交流
“勝っているからこそ学ぶ”。この飽くなき向上心が、チームをさらに高いレベルへと押し上げています。
⑤ 選手と共に「学び合う関係」を築いている
指導は一方通行ではなく、相互作用です。現場でのリアルな判断や声かけ、試合中の修正力など、私自身も彼らから学ぶことが多くあります。お互いに刺激を与え合える関係性が、質の高い現場を作っています。
⑥ 「自分一人の刺激では足りない」という客観視
「自分だけの価値観では選手は育ち切らない」という事実を深く理解しています。だからこそ、私のような外部の人間を意図的に招き入れ、多角的な刺激を与える環境を整えています。これは選手の未来を最優先に考えている証拠です。
勝つチーム・選手に共通している「3つのマインド」
次に、結果を出すチームの選手たちに見られた決定的な姿勢です。
① 誰の話も「一度しっかり受け止める」素直さ
監督、コーチ、外部講師……誰の言葉であっても、まずは一度しっかり受け止める空気がチーム全体にあります。「良いと思ったものは即座に取り入れよう」という受容性の高さは、監督の姿勢が鏡のように選手に浸透している結果です。
② すべてを「自分たちのために」と捉える当事者意識
どのトレーニングに対しても「やらされている」感覚が一切ありません。「自分たちのためにやっている」というスタンスが徹底されているため、集中力、トレーニング強度、一体感が自然と極限まで高まっています。
③ 自ら考え、解決しようとする「自律性」
私のトレーニングは、答えをすぐに与えず選手に試行錯誤させる「頭に負荷をかける」方法です。選手たちは、混乱の中でも「自分たちで何とかしよう」とコミュニケーションを取り、解決の糸口を探ります。この当事者意識の高さこそが、試合中の不測の事態での強さに直結しています。
まとめ ―― 戦術を超えた「人」の共通点
私が関わるチームが躍進していく姿を見るのは嬉しい限りですが、それ以上に「なぜ勝てたのか」という本質を言語化することに大きな意味を感じています。
一方は県2部リーグへの昇格、もう一方は東海リーグへの挑戦。ここからが本当の勝負です。勝つチーム、勝ち続けるチームには、戦術やスタイルを超えた“人としての共通点”があります。
戦術は「枝葉」であり、指導者と選手の在り方は「根っこ」である。
この土台があるからこそ、戦術という枝葉は大きく広がります。皆さまの指導現場においても、本質的な「習慣」や「在り方」を見直す一つのヒントになれば幸いです。
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