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【サッカー講義】「サッカーを辞めたい」と言った選手にどう接するのか?

最近、練習に消極的になった。ミスをすると挑戦しなくなった。そしてある日、「サッカーを辞めたい」と言い始めた。お子さんや選手のこんな姿を見て、「やる気がないのかな」と心配になったことはありませんか。

同じように消極的に見えても、理由は子どもによって違います。何をすればいいのか分からない、失敗が怖い、疲れている、楽しさや目標が変わってきている。今回は「伸びる子」を性格で分けるのではなく、子どもが挑戦しやすくなるために、我々大人がどう関わればいいのかを考えます。「辞めたい」という言葉の前には、小さなサインが出ていることが多いもの。言われた瞬間の対応だけでなく、日頃の関わり方から順番に見ていきます。

行動だけで判断せず、その理由を確認する





まず、何につまずいているのかを聞く

子どもの言葉・様子確認したいこと
「どうせできない」課題が難しすぎないか。進歩を感じられているか
ミスのあとに消極的になる失敗したとき、周りがどう反応しているか
練習に行きたがらない練習内容・人間関係・疲れなど、何が負担か
指示がないと動かない自分で考えたり、選んだりする機会があるか

この表は原因を決めつけるためではなく、話を聞くための手がかりです。「なんでやる気がないの?」と聞かれても、子どもは答えにくいもの。「最近、練習のどんなところが難しい?」と、答えやすいところから聞いてみてください。

気持ちをうまく言葉にできない子もいます。その場で説明を求め続けず、時間を置いて聞くことも大切です。大人が想像した理由と、本人が感じている理由は分けて考えましょう。





自主性を育てるには、選ぶ機会と支えを用意する

  • 本人が取り組みたいことを聞く
  • 年齢や理解に合う選択肢を示す
  • 選んだ理由と、やってみた結果を一緒に考える

子どもは選べないから大人が決めてあげないといけない、というのは大人の思い込みかもしれません。選ぶための材料があれば、子どもはちゃんと選べます。練習前に「今日、試してみたいことはある?」と聞き、答えにくければ近い距離と少し遠い距離のパス練習を示して、どちらをやるか選んでもらいます。

ただし、自主性を大事にすることは、全部を子ども任せにすることではありません。やり方が分からなければ説明し、難しすぎれば課題を調整します。また、「今日のウォーミングアップ、どれがいいと思う?」と子どもを頼ってみるのもおすすめです。頼られていると感じると、子どもは責任感を持って動き始めます。
大人が答えを先に決めすぎず、子どもが選び、試し、振り返る機会を残すことが大切です。





自信につながる「縦型比較」と小さな目標

比べ方子どもの受け止め方
横型比較(他の子と比べる)「あの子のほうが上手い。自分はできない」
縦型比較(過去の自分と比べる)「前より、ここができるようになった」

点を取れたかどうかだけを見ていると、本人が変えた行動を見落としてしまいます。「前はトラップしたボールが大きく離れていたけど、今日は足元に止められる回数が増えたね」と、具体的な変化を伝えてあげてください。そのうえで「今日はどうして近くに止められたと思う?」と聞き、うまくいった理由も一緒に考えます。

目標は、今の本人が少し背伸びをすれば届く、小さなものを一緒に決めます。今どこにいて、目標まであとどれくらいか。現在地が分かると、子どもは安心して次に進めます。

進歩を、本人にも分かる形にする





要点4「集中しろ」「頑張れ」を、次の行動が分かる言葉へ

場面言葉掛けの例
試合前「今日は、パスを出したあとにもう一回受ける動きを試してみよう」
プレーが止まったとき「次に受ける前は、背中側の相手も見てみよう」
ハーフタイム「外側では受けられているね。次は、受けた選手の内側で支えよう」
挑戦が失敗したあと「相手を見て運ぼうとしたんだね。次はボールを触る大きさを変えてみよう」

「頑張れ」「集中しろ」だけでは、子どもは何を変えればいいのか分からないことがあります。我々が試合前やハーフタイムで大事にしているのは、役割をはっきりさせることと、前向きにプレーできる状態を作ることです。

プレー中にずっと指示を出し続けると、自分で判断する機会を減らしてしまいます。説明や問いかけは、プレーが止まった場面などを使い、言葉で長く説明するより動きを短く見せながら、子どもに伝わったか、何をすればいいか分かったかまで確認しましょう。





帰宅後は、子どもが話せる時間にする

  • まず、本人が話したいかを確認する
  • 感想を聞き、大人の評価を急がない
  • 他の子との比較より、本人の工夫や変化に注目する

試合後すぐに振り返りたい子もいれば、悔しくて話したくない子もいます。「なんであそこでパスしなかったの?」と分析を始める前に、「今日はどうだった?」と聞いてみてください。飲み物を渡して隣で少し待つだけでも、子どもが自分から話し始めることはよくあります。

保護者が指導者とは別の戦術指示を重ねると、子どもは誰の言うことを優先すればいいのか、判断の基準が二つになって決めにくくなります。それよりも、子どもが自分で考えて判断したことを聞き、認めてあげましょう。褒め方も、人前で褒められるのが嬉しい子もいれば恥ずかしい子もいるので、本人が受け取りやすい形を選びます。

「今、試合の話をする? あとにする?」




要点6「辞めたい」と言われたら、続けさせる前に聞く

  1. 受け止める 「そう思っていたんだね。話してくれてありがとう」
  2. 理由を聞く 何がつらいのか、何を変えたいのか
  3. 選択肢を考える 休む、回数を変える、環境を変える、辞める
  4. 本人と決める 大人の希望と、本人の意思を分ける

我々は、辞めることは必ずしも諦めることではないと考えています。消極的に諦める場合もあれば、自分で新しい方向へ舵を切る場合もあるからです。辞めたいのはサッカーそのものなのか、今のチームなのか、今の練習量なのか。本人が話せる範囲で確認します。

「ここまで頑張ってきたのに」「時間もお金もかけたのに」と大人が思うのは自然なことです。でも、これまでかけてきたものだけを理由に、続ける結論へ誘導しないようにしたいところです。

叱られることやいじめが理由なら、同じ環境に戻す前に、まず事実を確認して子どもの安全を守ることが必要です。続ける場合も辞める場合も、本人の気持ちを大切にして相談し、結論を急がず考える時間を作ってあげましょう。

まとめ:やる気を支える4つの関わり方

関わり方ポイント
聞く決めつけずに、理由を聞く
選ぶ自分で選んで、試す機会を作る
比べる過去の本人からの変化を、具体的に伝える
伝える次の行動が分かる言葉を使う

やる気は、一言で必ず引き出せるものではありません。子どもの状態や周りとの関係も影響します。だからこそ「本人の気持ちが足りない」で終わらせず、課題の難しさ、選べる機会、言葉の伝わり方を見直してみてください。この4つは、「辞めたい」と言われる前の日頃の関わり方であり、言われたときにそのまま使える関わり方でもあります。
次の練習や試合で、子どもが自分で選んだことと、そこに見られた変化を一つだけ確認してみてください。皆さんがかける一言は、次の行動が伝わる言葉になっているでしょうか。

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