はじめに:チームビルディングの重要性
サッカーにかぎらずチームスポーツでは個々の選手が優れたスキルを持っていたとしても、チーム全体が一体感を持たなければ真の力を発揮することはできません。この【真の力】というのはチームの一体感から出る【個を圧倒する力】だと考えています。(*もちろん個人スキルがあるに越したことはない)
試合のプレッシャーや予想外の展開へ対応、また格上との闘いの際にはいかにしてこの【真の力】を発揮するかが問われています。そのためには選手間・指導者と選手との信頼が欠かせません。我々指導者は単に技術や戦術を教えるだけでなく、選手を一つのチームとしてまとめ上げる「チームビルディング」について考えることがとても重要です。
サッカーにおけるチームビルディングの要素
共通目標の設定
共通の目標を設定することはとても重要です。この目標は選手たちの行動基準となり、チームの結束強めます
短期目標として試合ごとの具体的な課題を設定し、長期目標としてシーズン全体の成績を掲げることは、選手たちの方向性を明確にすることが可能です。
チーム内のコミュニケーションの改善
選手同士が意思疎通できる環境を作ること、環境づくりがとても重要です。これは【心理的安全性】という言葉でも表現されます。特にワールドカップのような短期間しか選手が集まらない中でもコミュニケーションを頻繁におこなう必要があります。そのコミュニケーションで重要になってくるのが共通言語です。
「共通言語」があれば、ピッチ上でのコミュニケーションがスムーズになり、瞬時の判断が必要な状況でも適切な連携が可能になります。
役割と責任の明確化
それぞれの選手が自分の役割を理解し、責任を果たすことが求められます。たとえば、キャプテンの役割はチームの士気を高めること、守備的の主軸選手にはチーム全体を後ろから鼓舞し支えること、といった形で明確にすることで、選手の個々のモチベーションを引き出すことができます。一番良くないのは、戦術的にもチーム内の人間関係的にも個人の役割が曖昧になってしまっている状態です。
チームビルディングのプロセス
初期段階:チームの状況分析
まず、選手のスキルや性格、ピッチ内外での関係性を分析します。
指導者は一人ひとりの特徴を把握するために、積極的にコミュニケーションをとる必要があります。
前回も記事にしましたが、現代では【黙って俺についてこい】監督ではチームビルディングを達成することは難しいかもしれません。
その原因としてはSNSです。スマホ以前はトップダウンのピラミッド型組織のような構図でも問題なかったと思います。
理由としては他を知ることができなかったから。他とは、その他のチームがどのような雰囲気で練習し試合に勝つためにどんな取り組みをしているのか?という観点です。よって、監督の言葉がすべてチームに浸透しやすい状況でした。
しかし今はすぐに他チームの状況をすることができます。
・他のチームはこんなことをしている
・なぜうちはこんな取り組みをしているのだろうか?
そんな疑問を持ちやすい状況です
だからこそ、指導者の方々は
【なぜこのような取り組みをしているのか?】
【なぜうちはこれをやらないのか】
を丁寧に説明することが必要です。要は、コミュニケーションが重要です。
成功と失敗から学ぶ:振り返りの文化
振り返りミーティングは、チームビルディングのプロセスを継続的に改善する重要な手段です。
試合後、全員でプレーの良かった点と改善点(GOODとMORE)を共有し、次の目標を明確にします。なとなく毎回試合をするではなく、必ず振替を行いましょう。
実際のコーチングにおける注意点とポイント
個人主義の選手を巻き込む
技術的に優れていてもチームプレーに消極的な選手には、具体的な役割を与え、成功体験を積ませることが効果的です。
忍耐力を持って長期的に取り組む
チームビルディングは一朝一夕で完成するものではありません。指導者は選手の成長とチームの進化を長期的に見守る姿勢が必要です。
まとめ:実践への提言
サッカーにおけるチームビルディングの本質は、「個々の力を最大限に引き出しながら、一つの目標に向かって結束すること」です。コーチはそのプロセスをデザインし、選手が安心して能力を発揮できる環境を整える責任があります。
具体的なアクションとして、今日から次のステップを実践してみてください:
- 選手と個別に話す時間を作る。(個別が難しいのであれば、中心選手から全体に派生していくかたち)
- 共通言語をいくつか導入してみる。
- ミスに対して肯定的なフィードバックを試みる。(心理的な安全性を構築する)
- 振り返りの期間をつくる
- 目的・目標・手段を明確にする
これらの取り組みが、チームビルディングへの手助けとなると思っています。
皆さんの参考になれば幸いです。
コメント