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【サッカー講義】今後のファンタジスタは「ディフェンスライン」から生まれるかもしれない─【2026年W杯準々決勝・戦術総評】

かつて「ファンタジスタ」と呼ばれる選手たちは、主に前線に存在していました。トップ下や10番のポジションに入り、誰も予想できないパスを出す。ドリブルで相手を抜き去る。一つのアイデアで試合の流れを変える。ロベルト・バッジョ、ジダン、リケルメ、ロナウジーニョ。時代によってタイプは違いますが、「創造性のある選手=攻撃的なポジションの選手」というイメージが長い間ありました。

しかし、最近のサッカーを見ていて、我々の考えも少し変わってきました。もしかすると、これからのファンタジスタは、ディフェンスラインから生まれるのではないか。そんなことを感じています。今回その考えを強くしたのが、2026年ワールドカップ準々決勝、スペイン対ベルギーです。試合はスペインが2-1で勝利しました。今回はこの試合を振り返りながら、最後に「現代サッカーにおけるファンタジスタとは何なのか」について考えていきたいと思います。





まず目についた両チームの「4バック」

スペインとベルギーを見ていて、最初に印象的だったのが守備時のディフェンスラインです。両チームとも4バックが非常に綺麗に揃っていました。これは当たり前のようですが、非常に重要なことです。ラインを上げるのか。下げるのか。誰かが前へ出た時に、残りの3人がどう動くのか。相手が背後へ走った時に、どこまでついていくのか。一人ひとりがバラバラに判断してしまえば、ディフェンスラインには簡単に段差が生まれ、そこを相手に使われてしまいます。

ベルギーは、スペインの攻撃に対して4バックを揃えながら、非常に粘り強く対応していました。個人で守るというよりも、「4人で一つのラインを作って守る」という意識が強かったように感じます。先日のスペイン対フランス戦では、フランスは個々の守備能力そのものは非常に高い一方で、ディフェンスライン全体として見ると、少し落ち着きがないように感じる場面がありました。それでも個の能力で守れてしまう。そこがフランスの強さでもあります。しかし最終的には、より組織として統率されていたスペインが勝利しました。ベルギー戦を見ても改めて感じます。どれだけ個人能力が高くても、最終ラインは「個人の集合体」ではいけません。4人で一つのユニットとして動くこと。これは現代サッカーでも変わらない守備の基本です。




ポゼッション型チームにも「ビルドアップをやめる勇気」が必要

次にスペインのビルドアップについてです。スペインというと、「どんな状況でも後方からつなぐ」というイメージを持っている人もいると思います。しかし実際はそうではありません。危険だと判断すれば、スペインもビルドアップをキャンセルします。相手に前線から完全にはめられた。自陣ゴール前で数的不利になった。パスコースがなく、無理につなげば決定機を与える。そうした状況であれば、ロングボールを使います。

これは非常に重要です。ポゼッションとは、「絶対にロングボールを蹴ってはいけないサッカー」ではありません。目的はボールをつなぐことではなく、試合に勝つことです。だから危険な時には割り切る。これは必要です。


我々はこれを「保障」と呼んでいます。つなぐための二の手・三の手を持ち、危険な時は背後へ蹴って相手を下げさせ、下がったら空いた足元からつなぎ直す。決勝のフランス戦・アルゼンチン戦でも同じ判断が徹底されていました。つなぐ勇気と、やめる勇気はセットです。





ただし「何となく蹴る」は違う

一方で、この試合ではスペインが蹴ったロングボールをベルギーに回収される場面もありました。ここには一つ考えるべきポイントがあります。ビルドアップをキャンセルしてロングボールを使うことと、「とりあえず前へ蹴ること」は違います。何も考えずにロングボールを蹴れば、基本的には空中戦になります。そうなれば勝率は五分五分に近づきます。いくらボール保持能力の高いチームでも、セカンドボールを相手に拾われれば、再び守備をしなければなりません。

だからこそ、ロングボールにも目的が必要です。誰を狙うのか。その選手が競った後、セカンドボールを誰が拾うのか。相手のどこに弱点があるのか。裏へ蹴るのか、身体の強い選手へ当てるのか。「逃げるためのロングボール」ではなく、「次の局面まで考えたロングボール」にする。これはポゼッション型チームだからこそ重要だと思います。


クリアと繋ぐの判断の回でお伝えした「目標を持って蹴る」ですね。蹴る=設計の放棄ではなく、蹴った後の五分五分の球を「誰が・どこで」拾うかまで決めて初めて、ロングボールは戦術になります。蹴る判断と、蹴る質は別物です。



ドクとヤマル。同じ「ドリブラー」でも違って見えた理由

そして非常に興味深かったのが、両チームのドリブラーです。ベルギーにはジェレミー・ドク。スペインにはラミン・ヤマル。どちらも世界最高峰の1対1能力を持っています。しかし、この試合では二人がボールを持った時の「周囲」に違いを感じました。

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